泣ける・感動する・ドラマ映画 洋画編

[映画レビュー]『スポットライト 世紀のスクープ』(2015) それは、自分だったかもしれない

今、自分にスポットライトが当たっていないと感じるあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:アカデミー賞作品賞、脚本賞受賞作品はとりあえず押さえておきたいところなので
ジャンル:ドラマ
原題:SPOTLIGHT
泣ける度:泣けるとか泣けないとかいう映画ではない

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(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC All Rights Reserved.


–あらすじ–
2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

アカデミー賞作品賞を受賞した映画は、興行的にはそれほどヒットしないと言われている。それは、作品自体が玄人好みであり、決して一般大衆受けする仕上がりではないから。

この『スポットライト』もしかり。正直、大衆受けするとはあまり思えない。

 

そもそも日本では、宗教に対する理解に深い人間がそれほど多くないせいか、カトリック教会の枢機卿(すうききょう)だの、神父だの言われても、誰がどれぐらい偉くてどれぐらいその世界で力を持っているのか、ほとんどの人がよくわかっていない。

ゆえに、この手の宗教の闇の部分を描いた作品は、我々日本人には容易に受け入れ難い。

 

それでもこの映画『スポットライト』には、大きな社会的意義を感じる。宗教のことはあまりよくわからない、子どもの頃教会に通った経験がない、という我々日本人にとっても一見の価値はある映画とも感じる。

映画という媒体を通じて、他国の文化や歴史に興味を持っていくのは、ひとつ、映画を観ることの醍醐味でもある。

 

神父という絶対的存在にNoとは言えない環境。

そこに、親がいなかったりと、絶対的立場の弱い子どもたちがいる。

 

絶対的力を持つ神父たちの一部が犯す過ち。

その過ちが巨大な力によって組織ぐるみで隠蔽される現状。

 

そして、その強大な力に対し、信念を持ってぶつかっていく記者たち。

 

徹底的に事実を分析し、データの規則性を見出す。

まさにビックデータ解析。しかもそれをほぼ手作業で、アナログ的にやり遂げる。

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(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC All Rights Reserved.

 

他のノンフィクション映画同様、この映画にも、実話をベースとした映画のジレンマがある。

細かく描きすぎると登場人物も多くなりわかりにくくなる。一方で、シンプルに描くと、薄っぺらな推理映画になる。

 

Again, カトリックの背景知識や教会通いの経験がない大多数の日本人には、正直あまり感情移入できない作品。

しかしながら、信念を持って、やるべきことをやり遂げるものたちの姿には、心打たれるものを感じるはず。

 

最近仕事に打ち込めてない、そんな人には、信念を持って仕事に取り組む記者たちの姿が刺激になるのでは。

華やかさはないまでも、何度でも観たくなる、味わい深い映画。

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[映画レビュー]『マネー・ショート 華麗なる大逆転 』(2015) なんとなく頭良くなった気になれるが、頭良くはなれない映画

今、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:ブラピの久々の出演作だから。予告が面白そうだったから。
ジャンル:ドラマ
原題:THE BIG SHORT
泣ける度:(0.5/5)

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.


–あらすじ–
2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

ブラッド・ピットこと、ブラピが出てるというだけで判断して観に行くと怪我をする。

いわゆるマネーゲーム的な実話をベースとした映画で、この映画でのキーワードとなる金融用語「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)についてだけ、事前予習しておけば良いかというと、そうではない。

 

もっと、もっと、金融商品について知識がないと、きっと、楽しめない。

金融用語だけではなく、そもそもの経済の仕組みについても理解していないと、この映画楽しかったフリをするだけで終わってしまう。

 

ではガッツリ勉強してからこの映画を観に行けばいいのか?

それも違う。

 

にわか勉強ではこの映画楽しめない。

つまり、ごく一部の経済通の人間が、お楽しみできる映画。

 

普通に考えて、100人に1人が理解できるかどうかレベル。

大学院でMBA課程を修了した私でも、経済用語の連発に頭が混乱し、映画を楽しむどころではなかった。

 

劇中、必死に色々な例えを使って解説を試みるも、それは、なんとなくわかった気にさせるだけ。

また、映画出演者が突然横を向き、解説を始めるシーンも何度かあるが、そんなシーン入れたらもう、「この映画、つまらないですから。」と言っているようなもの。

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 

映画の価値は余韻を楽しませるという点において、ぶち壊しにしてくれる。

ギャグの面白さを、ギャグを言ってからここが面白いところと説明しているようで、寒い。

 

これまでも、マネーゲーム的映画はあれど、それらは素人でも理解できるレベルに経済的内容の部分をシンプルにして、映画的面白さの追求を忘れていなかった。

しかし、この映画は一般の人たちには難しすぎる。

 

ただ一つ、人が不幸になる事によって利益を得る輩に対し、ある種のメッセージ的なものがあったのが良かった。

あと、損をするのは、無知な、自分で考える事を止めた人たちであるという事を、映画を通じて教えてくれた。

 

かなり、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたい人にはおすすめな映画か。

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[映画レビュー]『戦場のピアニスト』(2002) 生きようとする人間の本能が切に伝わってくる

ユダヤ人迫害の映画であれど、辛すぎる映画は苦手というあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:タイトルより興味そそられなかったが、いつの日か人に勧められたから
ジャンル:ドラマ、戦争
原題:THE PIANIST
泣ける度:(1/5)

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(C)2002 PR PRODUCTION/STUDIO BABELSBERG/HERITAGE FILM/RUNTEAM LIMITED


–あらすじ–
1940年、ドイツ占領下のポーランド。ユダヤ系ピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は家族と共にゲットーへ移住。やがてユダヤ人の収容所移送が始まり、家族の中で彼だけが収容所行きを免れた。食うや食わずの潜伏生活を送るある日、遂に1人のドイツ兵に見つかる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

想像に難くないストーリー展開で、ナチスのユダヤ人迫害のシーンは見ていて心が痛い。

実話ベースの映画であり、ロマン・ポランスキー監督自身が幼少期をゲットーで過ごしたという事実から、劇中描写のリアルさが増す。

 

実に残酷なシーンが多いのだが、見ていて悲しいというより、その光景にただただ圧倒される。

悲しいことは悲しいんだけど、それが度を超えすぎていて、涙さえ出てこない、そんな感じ。

 

実話ベースの話なだけに、ストーリー展開的に面白いかというと、そうでもない。いたってシンプルなストーリー。

ゆえに、映画的エンタメ性を欲するのであれば、あまり満足は得られないか。

 

ただ、終始飽きさせないことは確か。

スタートからエンドまでとにかく飽きさせない。

 

映画というより、スーパー上質な再現映像とも言えなくはない。

特にゲットーでのユダヤ人たちの生活ぶりがリアルすぎて言葉を失う。

 

迫害されるユダヤ人たちの行為一つ一つに対し、「そうだよな」と、いちいち頷いてしまう。

生きようとする人間の本能が、切に伝わってくる映画。

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[映画レビュー]『キャロル』(2015) 女性は「飾り物」じゃない

今、新しい価値観に目覚めたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:賛否両論な映画で気になったから。
ジャンル:ドラマ
原題:CAROL
泣ける度:(1.5/5)

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(C) NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED


–あらすじ–
1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

主演の二人、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラがそれぞれ2016年第86回アカデミー賞の主演女優賞と助演女優賞にそれぞれノミネートされていることからも注目されている作品。

また、私がよくゼロポイント評価として参考にしているYahoo映画サイトにて、その評価が賛否両論真っ二つに分かれているところからも、より興味をそそられて映画館へ。

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賛否両論。。わかる。。といった感じ。

この手のテイストの映画は賛否が分かれやすい。

 

つまり、観ていて何となくカッコイイ映画だけど、いまいち何が言いたいのかそのメッセージが伝わってこないというやつ。答えをくれないというやつ。

世の中には、非常に観やすい、深い理解力や感受性を必要としない、気持ちも楽に楽しめる作品がある一方で、感受性をフルに発揮して、全てを体で吸収して、自分なりに噛み砕いて味わって楽しむ映画がある。

 

この作品は後者の方。

映画ってバランスが大事で、時に気楽に観たり、時に全神経を集中させて観たり。

 

その意味で、今作は非常に味わい深く、また、人によって受け止め方の異なる映画と感じた。

映画評論家や映画ライターが押し付けてくる一方的な価値観に流されることなく、是非とも自分なりの感じ方をしてほしい。

 

「若いから、解決や説明を求める」

と、劇中でキャロルが言う。

 

この映画を観る我々にも同時に投げかけられているように聞こえた。

このブログでは、いつものように、私なりに感じたものを文章にして共有しているが、これもただ一人の映画ファンの感想ということで、あまり、影響を受けすぎないでほしい。

 

一言で表現すると、人も風景も、全てが非常に美しい映画。

女性向けの映画のように見えるが、男性こそ観るべき映画。

 

特に、女性を「飾り物」と勘違いしている輩には観てほしい。

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[映画レビュー]『ブラック・スキャンダル』(2015) 精神的に追い詰める恐怖の話術が凄まじい

今、ジョニー・デップ好きなあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:ジョニー・デップのハゲヅラ姿が見たかったから。ハゲヅラに0.5ポイント。
ジャンル:ドラマ
原題:BLACK MASS
泣ける度:泣ける要素ゼロ

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(c) 2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


–あらすじ–
1970年代、サウスボストン。アイリッシュ・マフィアのボスとして同地一帯を牛耳るジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー(ジョニー・デップ)に、FBI捜査官のジョン・コナリー(ジョエル・エドガートン)が接触を図ってくる。彼はFBIと手を組んでイタリア系マフィアを駆逐しようとホワイティに持ち掛け、密約を交わすことに成功。両者の連携によってイタリア系マフィアの勢力は弱まるが、その一方でホワイティは絶大な権力を持つようになる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

試写会で観てきました。

場所は、ワーナー・ブラザーズ映画試写室。

 

いつもは公民館みたいな場所での試写会。今回は、金持ちの心地よいミニホームシアター的な場所でGOODで。

上映前には小さなイベントもあって、あまり期待してなかったけど楽しかった。

 

俳優の小沢仁志さんの「悪と悪党は違う」という言葉が印象的で。

悪党はヒーローにもなりうるが、悪(ワル)は悪(ワル)だと。

 

そんなワルが登場する映画、『ブラック・スキャンダル』の話をそろそろ。

私、ジョニー・デップのファンタジータッチの映画が好きではなく、いつもはあまり彼の映画を観ないのだが、今回はギャング系映画ということで、少し期待をして試写会会場へ。

 

この映画のストーリーはなんと実話。

しかし実話もの映画って、基本的に広がりが薄い作品が多い。

 

あまり色付けすぎちゃうと、事実と異なってくるし、そこは葛藤なところ。

過去にもギャング系実話もの映画がいくつかあった。それら映画と比較して、今作『ブラック・スキャンダル』はどうか。

 

事実を一つずつなぞってる感は否めないが、それでも一つ一つのシーンに見応えがある。

特に、ジミー(ジョニー・デップ)が「チンピラ」レベルから、手のつけられない「ワル」に変化していく過程に、そして、ジミーを取り巻く人たちが、次第にジミーに恐怖感を抱いていく過程に、観ていて引き込まれ、手に汗を握った。

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(c) 2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

 

映画全体にいきわたる緊迫感が半端ない。

そして、ジミーの人を精神的に追い詰める、「恐怖の話術」が凄まじい。

 

試写会に招待された芸能人たちが、「今作はジョニー・デップ最高傑作!!」と、絶賛させられているが、いかに。

私自身、本作がジョニー・デップ最高傑作映画とは思わなかったが、過去の数あるギャングもの実話映画よりは見応えもあり、その意味では満足であった。

 

ただ、映画としては、全体的に、ドラマチックな展開もなく、「ただただ怖いワル、ジミーとその関係者たち」的なお話。

どこでもいい。ストーリーの中に、どこか一点決めて、そこに強いフォーカスがほしかったかな、と。

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[映画レビュー]『クリード チャンプを継ぐ男』(2015) ロッキーイズムを忠実に継承

今、あのボクシング映画の王道を楽しみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:ロッキーを懐かしみたかったから。
ジャンル:ドラマ
原題:CREED

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(C) 2015 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.


–あらすじ–
ボクシングのヘビー級チャンピオンであったアポロ・クリードの息子、アドニス・ジョンソン(マイケル・B・ジョーダン)。さまざまな伝説を残したアポロだが、彼が亡くなった後に生まれたためにアドニスはそうした偉業を知らない上に、父との思い出もなかった。それでもアドニスには、アポロから受け継いだボクシングの才能があった。そして父のライバルで親友だったロッキー(シルヴェスター・スタローン)を訪ねてトレーナーになってほしいと申し出る。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

実際、そんなに期待値高めで映画館に観に行く人はいないかなと思ってる。

映画「ロッキー」シリーズの番外編的な位置付けの、または、「これから新しいシリーズはじめていっちゃおうか。この映画がヒットしたら。」的な映画であるこの映画『クリード チャンプを継ぐ男』、私もそれほど期待しないで観に行った。

 

映画「ロッキー」シリーズを作る上での大前提が、

  • シルヴェスター・スタローンを登場させる。
  • ボクシングもの映画である、つまり、ボクシングの試合のシーンを入れる。2試合ぐらいは。
  • ロッキーイズムを継承する必要がある。特に、トレーニングのシーンで。

である。

 

そして、

出会って、トレーニングして、試合に挑む

の流れを守る必要がある。映画「ロッキー」ファンのためにも。

 

その意味では今回の『クリード チャンプを継ぐ男』は上記法則をすべてを踏襲していて、かつ、プラスアルファでサイドストーリーも加わっている。ゆえに、人間ドラマとしても楽しめる。

でも、やっぱりワンパターンさは否めない。

 

しかしながら、「まさにそのワンパターンを観たいんだ」という人には、すごく楽しめる映画。

また、あのロッキーのテーマを聴くと、自然とアドレナリンが分泌するとか。

 

シルヴェスター・スタローンの、「天龍源一郎」並みに聞き取りにくいセリフも味がある。

懐かしいトレーニング手法も登場し、ロッキーファンは、久しぶりに「ロッキーってこんなんだったな」というのを味わい、楽しめる、そんな映画になっている。

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[映画レビュー]『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』(2014) GOODな、いいかげんさ

今、アフリカ難民問題について、まずは知ることから始めてみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:タイトルに惹かれた。
ジャンル:ドラマ
原題:THE GOOD LIE

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(c)2014 Black Label Media, LLC All Rights Reserved.


–あらすじ–
カンザスシティーの職業紹介所勤務のキャリー(リース・ウィザースプーン)は、スーダンの内戦で両親を亡くしたマメール(アーノルド・オーチェン)らを空港で出迎える。これまで抜かりなく仕事をこなしてきた彼女の任務は、難民の彼らに勤め先を見つけることだった。だが、電話など見たこともなく、マクドナルドも知らない彼らの就職は困難を極める。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この映画のタイトル『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』から、心温まるコメディー映画を想像していたら、だいぶ違っていた。

 

めちゃくちゃシリアスな映画で、笑うなんてどんでもないという映画。

でも、感動させて涙を流させるというものでもなく、泣いてもらう代わりに、しっかりとこの現実を世界に広めたいという想いのほうが、より伝わってきた。

 

この映画は実話ベースであり、実際のスーダン難民や、元少年兵たちが演じていることで、よりリアルさも感じる。

この手の実話もの映画になると、ドキュメンタリーフィルム度が高く、やや起伏の少ない眠たくなる映画となるか、逆に、脚色し過ぎてドラマチック過ぎる映画になるかだが、この映画はちょうどその中間ぐらい。したがって、しっかりと現実に向き合える一方で、映画としても見応えのある作品。

 

ものすごい現実が、淡々と描かれている。

そこが狙いなのかどうかわからないが、「こんなことは我々にとって特別なことではなく、日常の出来事なんだよ」と言われているような気がした。

 

積極的に難民を受け入れることがない日本。その日本に住む我々日本人にとって、難民を受け入れることとはどういうことか、実はよくわかっていない。

そして、今後も深く関わることがないものかもしれない。

 

それだけに、日本人にこそ、この映画を見て欲しい。

まずこの映画を観ることが、彼らを支援する一歩となるのではないか。

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[映画レビュー]『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015) 人はすぐに忘れる、そして、過去を蘇らせる

今、絵画の持つ力を感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:絵画について最近自分の中で関心が高まっているから。
ジャンル:ドラマ
原題:WOMAN IN GOLD

(C)2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.


–あらすじ–
アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、グスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画で第2次世界大戦中ナチスに奪われた名画が、オーストリアにあることを知る。彼女は新米弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)の助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求めて訴訟を起こす。法廷闘争の一方、マリアは自身の半生を振り返り……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

法廷闘争ものの側面を持ち、現在と過去を行ったり来たりする展開でありつつも、比較的、観やすい作りになっている。

現代のシーンは時系列でわかりやすく構成されており、過去のフラッシュバックが映し出されるシーンでは、明確に過去のストーリーとわかるような映像で作られている。観るものに優しい映画。

 

また、この映画のストーリーは実話をベースに作られており、最後のエンドロールでは、現在彼らがどう生活しているのか的な紹介が出てくる。これはありがちな作りだが、実話映画を観ている者が知りたいところをしっかりカバーしてくれている。

ストーリー的には、フィクションじゃないかと思うぐらいの驚きな話の展開であり、これが実話ということで、一層観るものを魅き付ける。よく映画でありがちなストーリーが、そんなありがちな話が「本当にあった」ということだ。

 

それでも「よくある話だなあ」と、映画としてはつまらないと思うかもしれない。ただ、これ、何度も言うようですが、「実話」なので、よく映画である話ではなく、本当にあった話であるということで、是非ご鑑賞いただきたい。

 

久しぶりに、映画を観てるなあという感じがした。

私の映画を観る際の楽しみの一つが、自分が行ったこともない地域、聞いたこともない制度やしきたりなどに、間接的ではあるが、触れることができるということ。そういった意味で、オーストリアのウィーンに触れ、国際裁判の難しさに触れることができたこの映画は、まさに「映画を観てる」感が久しぶりに強く感じられた作品。

 

他の本格法廷もの映画と比べると、法廷闘争部分自体についてはそれほど見入るレベルのものでもない。だから、「裁判に勝ったー!やったー!」というレベルのものではない。

それよりもむしろ、「過去を蘇らせる」ことの意味について考えさせてくれる映画である。

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[映画レビュー]『エベレスト 3D』(2015) 命に関わる判断に優しさは見せてはならない

「一応、山登りします」というあなたにも是非見ていただきたい映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:一応私も山に登るので。
ジャンル:アドベンチャー、ドラマ、サスペンス
原題:EVEREST

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(C) Universal Pictures


–あらすじ–
世界にその名をとどろかせるエベレスト登頂を目指し世界各地から集まったベテラン登山家たちは、参加者の体調不良などトラブルが重なり下山が大幅に遅れる。さらに天候が急激に悪化し、命の危険性が劇的に高いデスゾーンで離れ離れになってしまう。ブリザードや酸欠などの極限状況に追い込まれた一行は……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

雪山登山の厳しさを、そしてエベレスト登山の過酷さを感じることのできる作品。

3Dメガネをかけて観たのだが、その映像には超満足。

高〜っ、深〜っ、って感じで。

 

ストーリーはというと、実話ベースの映画だけあって、劇的な展開というものは正直ない。

難波康子(なんばやすこ)さんという日本人登山家が登場することにより、日本人として急にこの映画に親近感が湧くが、それ以上でもそれ以下でもなく。

 

それまでプロの登山家しか登っていなかったエベレストにて、商業登山なるものが始まりだした頃の様子が描かれている。

65000ドルという大金を払った登山参加者は少し無理をしてでも登頂成功させたい。危険であれば引き返してまた後日登りに来ればいいという考えができない。

一方で、お金を受け取ってる業者側はなんとしてもその思いを叶えてあげたい。生きて帰ることが一番大切とわかっていても、判断を誤ってしまう。

 

何事も最初は失敗がつきものだが、この1996年エベレスト大量遭難事故という結果は、あまりにも大きな代償であったことを伝える作品。

映画としてはストーリー展開もそれほど面白いものでもないが、映像は一見の価値あり。是非、映画館で3Dで。

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[映画レビュー]『ハッピーエンドが書けるまで』(2012) 様々な愛の型にはまっていく、もの書き一家

今、様々な愛情表現の形を味わいたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:もの書きの映画だから。
ジャンル:ドラマ、コメディ、ロマンス
原題:STUCK IN LOVE

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(c)2012 Writers the Movie, LLC


–あらすじ–
作家ビル(グレッグ・キニア)は前妻エリカ(ジェニファー・コネリー)を忘れられず、離婚して3年たってもまだ彼女の家の周りをウロウロしていた。大学生の娘サマンサ(リリー・コリンズ)はさっさと父親を見限って新しい恋人を作る母親を嫌悪し、3年間ろくに口もきいていない。そんな彼女に同級生のルイス(ローガン・ラーマン)が恋心をいだくが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この映画、DVDをレンタルして観たんですが、この「ハッピーエンドが書けるまで」というタイトルが恥ずかしくて少し気が引けた。

40歳を過ぎたオッさんが手に取るタイトルじゃないな、と。

 

一言でいうと「オシャレ系映画」という感じ。

ストーリーの起伏もあまりなく、個々のイベントもどこかの映画で観たことがあるといった感が否めない。

 

ただなんとなく、彼らの「文化」に触れた気になれる、オシャレ感を味わえる、という意味で、私はこの手の映画を「オシャレ系映画」と勝手に呼んでいる。

よって、大絶賛はないけど観て損もしない、新たにファッションアイテムを一つ身につけた感じになれる、そんな映画。

 

このブログを書いているように、私自身、文章を書くのが好きなので、そういった意味では小説家の家の子どもの育て方には興味があり、また、憧れを感じる部分も。

お決まりのストーリーを味のある俳優陣で味わってみたい、そんな時におすすめの一本です。

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