泣ける・感動する・ドラマ映画 邦画編

[映画レビュー]『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016) 数々の名言から理想の生き様を見出す

今、男が惚れる、理想の生き様に触れたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:阿部寛、岡田准一、尾野真千子と、好きな俳優勢揃いだったから
ジャンル:ドラマ、アドベンチャー
泣ける度:(1.5/5)

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(c)2016 「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会


–あらすじ–
ネパールの首都カトマンズ。ヒマラヤ山脈が見えるその街で、日本人カメラマンの深町誠(岡田准一)は古めかしいカメラを見つける。それはイギリス人登山家ジョージ・マロリーが、1924年6月8日にエベレスト登頂に初めて成功したか否かが、判断できるかもしれないカメラだった。カメラについて調べを進める深町は、羽生丈二(阿部寛)というアルピニストの存在にたどり着く。他人に配慮しない登山をするために孤高の人物となった彼の壮絶にして崇高な人生に触れるうちに、深町の胸にある思いが生まれる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この手の映画はやっぱり映像に見応えがある。

エヴェレストの美しさはもちろんのこと、ネパールにあるエヴェレスト登山の拠点となる街の風景なども、生涯ネパールを訪れることはないかもしれない私にとってはすごく楽しめた映像。

 

では、肝心のストーリーの方はどうか。

予告編映像にて、おもいっきり謎解き的な前振りをしているにも関わらず、最後にはそんな謎解きどうでもよくなってしまった感が否めない。

つまり、何を伝えたいのかの焦点がいまいち定まっていないような、そんな印象を受けた。

 

これは、登山するのに特に明確な理由がないのと同様に、この映画自体にもクリアなメッセージは求めるなということか。

それぞれが、それぞれに、勝手にメッセージを感じて持っていけと言わんばかりの、ある意味身勝手な作りの映画。

 

そして、山の映像がいっぱい出てくると思いきや、そうでもない。

エベレストの厳しさというよりもむしろ阿部寛演じる登山家、羽生丈二の生き様にフォーカスを当てたストーリー。

 

岡田准一氏は主役と思いきや、事実上の主役は阿部寛である。

尾野真千子も結構チョイ役。

 

どうせ観るなら映画館で観たい映画。

エヴェレスト自体の過酷さを、より感じたいのであれば、『エベレスト 3D』(2015) のほうのがオススメかもしれない。

 

登山家、羽生丈二の生き様から何を感じれるだろうか。

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[映画レビュー]『さよなら歌舞伎町』(2014) チープな日本映画と、深みのあるアジア映画の混在

今、他人の人生、ちょっと覗き見してみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:染谷将太、前田敦子主演ということなので、気になり。
ジャンル:ドラマ
泣ける度:(1.5/5)

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(C) 2014『さよなら歌舞伎町』製作委員会


–あらすじ–
一流ホテル勤めと周囲に偽りラブホテルの店長をしている徹(染谷将太)は、ミュージシャンを夢見る同居中の恋人・沙耶(前田敦子)との関係が倦怠(けんたい)期になりかけていた。歌舞伎町にあるラブホテルに出勤し多忙な1日が始まるが、ホテルでは家出少女(我妻三輪子)と来店した風俗スカウトマン(忍成修吾)、時効を間近に控え男(松重豊)と潜伏生活を送るホテルの清掃人(南果歩)など、年齢も職業もさまざまな男女の人生が交錯し……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

前田敦子氏が主演と思っていると、ちとガッカリする。

むしろ彼女は他の俳優の引き立て役に回ってしまっている。

 

ある意味非常に大人な映画で、前田敦子氏が出ているというだけで安易に観ると、ケガをする。

ポルノ映画ではないが、その要素は多めである。

 

5組の男女カップルが織りなすストーリー。でも実際強く記憶に残るのは、2組ぐらいか。

そのうちの一組が韓国人出稼ぎカップルで、もう一組が、時効を待ち、ひっそりと隠れて暮らすカップル(南果歩、松重豊)。

 

チープな日本映画と、深みのあるアジア映画が混在している感じの仕上がり。

 

アジアでも後世記憶に残る映画になるはずだったのに、興行収入を意識して目先の利益に目が眩んでしまった的な映画。

将来の一万円札より目の前に落ちている千円札を拾ってしまった的な。

 

主演は染谷将太、前田敦子であったが、デリヘル嬢を演じた韓国人女優イ・ウンウが事実上の主役であった。

いつもはひらりと光る染谷将太も脇役のように思えるぐらいに、女優イ・ウンウが輝いていた。

 

生きていくために必死な人間たちの姿を覗き見しているテイストで、ストーリー展開自体は実に巧妙。最後まで飽きさせず、十分楽しめる映画。

他人の人生、ちょっと覗き見してみたいというあなたにおすすめです。

 

期待せずに観てみると、意外と収穫ありの映画ではないか。

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[映画レビュー]『アウトレイジ』(2010)&『アウトレイジ ビヨンド』(2012) 表の世界も裏の世界も、やってることは大して変わらない

今、壮大なる下克上劇を楽しみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:バイオレンスムービー観たい気分だったから。
ジャンル:ドラマ
泣ける度:涙は出ないけど、ある意味泣けてくるかも。

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(c)2010「アウトレイジ」製作委員会


–『アウトレイジ』(2010) あらすじ–
関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

北野武監督・脚本作品。相変わらずのバイオレンスぶり。

で、このバイオレンスムービーを面白いと思えるか。

 

実に面白い。

テンポが良く、2時間飽きさせない。

 

男性向きの映画であることは確かだが、成り上がり的なストーリーが好きな女性であれば、たとえ女性でも、このヤクザ映画を面白いと思えるかも。

ただ、残酷なシーンも多いので、そのあたりも許容できればの話だが。

 

劇中、三浦友和が北村総一朗に頭をはたかれるシーンが度々ある。そんな三浦友和、今まで見たことないので、そんなちょっとしたシーンでさえ、衝撃的で。

加瀬亮に関して言えば、これほどまでにこっちの世界の人の役が合うとは思わなかった。キャスティングの妙と言うべきか。

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(c)2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

 

北野映画だけに、最後のシーンはある程度想定ができてしまうものの、嫌いじゃない終わり方。

「もうこれで終わりだよね」と、上映時間を確認してしまうほど、最後まで何が起こるかわからない、ソワソワさせてくれる展開。

 

金ってこうやって稼ぐんだ、と、変に感心してしまう。

黒い金の稼ぎ方ではあるが、考え方だけは吸収したいかも。

 

会長、若頭、直参(じきさん)、そしてマル暴という関係性を把握していると、つまりはヤクザ組織のありかたや、彼らに対する警察組織のありかたを理解していると、個々の登場人物の関係性がわかって、よりこの映画を楽しめる。

しかしながら、あまりこのあたり凝って調べる必要もないので、以下に簡単に人間関係を書いてく。

 

会長(北村総一朗)がトップ。若頭の加藤(三浦友和)がナンバー2。直参っていうのが、組織のトップから直接「盃」を受けた者ということで、この映画では池元(國村隼)にあたる。で、大友(ビートたけし)が、その池元の下の組織というわけです。

また、マル暴に刑事の片岡(小日向文世)。ちなみに「マル暴」とは、暴力団対策を担当する警察内の組織や刑事のこと。

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(c)2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

 

これだけ関係性を押さえていれば、より深く、この映画を楽しめるでしょう。

バイオレンスムービーでありながらも、どこか、もの哀しげな映画を観たいというあなたにオススメの映画です。

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[映画レビュー]『ザ・ウォーク』(2015) 一歩を踏み出せない輩たちへのメッセージ

今、何かデカいことを成し遂げたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(5/5)
観た理由:予告編がつまらなそうだったが、気になったので自分で確かめたかった。
ジャンル:ドラマ、サスペンス
原題:THE WALK
泣ける度:(1/5)

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(C)2015 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.


–あらすじ–
1974年。フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、誰も考えついたことのない挑戦をすることに。それはニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくというものだった。そして、ついに決行の日を迎えるフィリップ。地上110階の高さに浮いているワイヤーを、一歩、また一歩と進んでいく彼だったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

二時間ずっと綱渡ってて、落ちそうになったりしながら最後には無事渡りきってお話は終わりかな、と、超期待低で映画館へ。

 

すみません。。  

私が間違っていました。。

 

たぶん映画のタイトルが悪いのかも、と、人のせいに。

タイトルが『ザ・ウォーク』じゃ、面白み伝わってこないでしょ。

 

でも、それが作戦だったのかもしれないが。

観てみたらこんなに面白いんだよ、という感じで。

 

スーパー、大満足です。

気がついたら手と足に汗を握ってた。

 

もちろん綱渡った人が語ってるストーリーなんだから本人は生きてるに決まってるし、落ちないに決まってる。でも、それでも汗が出る。

話のテンポもすこぶるいい。サクサク観れる感じで、退屈さが全くない。

 

ヒューマンドラマ要素あり、サスペンス要素あり、でもコアにあるのは「冒険要素」な気がした。

アドベンチャーというか、ベンチャーというか。

 

涙が出る感動とはまた違った形で、大いに感動できる映画。

あなたも歴史的イベントの「共犯者」気分を味わえます。

 

映画館で3Dで観たんですが、やっぱりこの手の映画は3Dがおすすめです。

再びあのワールドトレードセンターを3Dで。

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[映画レビュー]『人生の約束』(2015) 伝えたかった価値観をストレートに押し付け過ぎたか

今、40歳代前半・男性のあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(2.5/5)
観た理由:竹野内豊、江口洋介の共演が見たかった。
ジャンル:ドラマ
泣ける度:(1/5)

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(C)2016「人生の約束」製作委員会


–あらすじ–
IT関連企業のCEO中原祐馬(竹野内豊)は、3年前にたもとを分かったかつての親友からの無言電話に不安を覚え、親友の故郷・富山県新湊へ向かう。着いたときには親友はこの世を去っていたが、親友が新湊曳山まつりをめぐって地元のために奔走していたことを知る。亡き友への思いから、資金と人手不足によりほかの町に譲渡された曳山を取り戻そうと奮闘する祐馬だったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この映画、40歳代前半の男である私が、ズバリ、ターゲットな映画。

ターゲットらしく、ガッツリ感動してやろう的な、前のめりな姿勢で、いざ映画館へ。

 

ムムッ。。こ、これは。。

 

映画予告編以上の盛り上がりが、、ない。

 

確かに役者陣は豪華。

江口洋介、竹野内豊をはじめ、個人的に好きな女優小池栄子まで出演している。

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(C)2016「人生の約束」製作委員会

 

俳優ビートたけしは、かなりのちょい役で。

西田敏行、柄本明まで。

 

ひとことで言うと、「えっ、これで感動しろって言うの?」という感じの映画。

出ている役者さんたちに罪はない気がするし、原作は読んでないのでどこまでの世界観がこの映画で反映されているかわからないが、それにしても、久しぶりに厳しい映画だった。

 

『ギャラクシー街道』(2015)以来かな。このショックは。

そういえば、あちらの作品にも西田敏行さん出てたな。まだ呪縛が解けないか。。

 

「今、良いこと言ってます。だからみんな注目。」的なシーン、すごく好きじゃなく、そんなシーンがこの映画にはたくさんあり。

Again、出ている役者さんたちは好きだ。ただ、応援したい気持ちは大きいのだが、嘘は言いたくないし。葛藤。

 

人生の「踊り場」に立っている私でも、ほぼ共感ゼロの、使い古されたストーリー。

自然に見えない振る舞いで埋め尽くされた、昭和テイストを押し付けた、田舎の人間の「つながり」は良いものだという価値観を全面に渡って押し付けてきた、映画。

 

作り手が伝えたかった価値観をストレートに押し付け過ぎたか。

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[映画レビュー]『母と暮せば』(2015) どうしてあの人だけが。。

今一度、戦争の悲惨さを心で感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:嵐のニノが出てるから。
ジャンル:ドラマ、戦争、ファンタジー

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(C)2015「母と暮せば」製作委員会


–あらすじ–
1948年8月9日、長崎で助産師をしている伸子(吉永小百合)のところに、3年前に原爆で失ったはずの息子の浩二(二宮和也)がふらりと姿を見せる。あまりのことにぼうぜんとする母を尻目に、すでに死んでいる息子はその後もちょくちょく顔を出すようになる。当時医者を目指していた浩二には、将来を約束した恋人の町子(黒木華)がいたが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この映画をおすすめしない人は、非国民と言われそうな。

そうです。私が非国民です。

 

あと、左前に座ってて、いびきかきながら寝てたじいさんも同罪かな。

 

すごく、戦時中の厳しい生活ぶりが伝わってくる。

また、戦時中に大切な人を失った人の気持ちなど、自分にはわかるはずもないぐらいのやりきれなさも伝わってくる。

 

そして、この手の戦争映画は、今後も作り続ける必要性も感じる。

戦争の惨さは永遠に語り継いでいかなければならないから。

 

でも、一本の映画として、「みなさん是非観てください」的な気持ちではない。

自分が嵐のメンバーだったら、周囲の人に宣伝して回るだろうが、残念ながら、そうではない。

 

本作は、数多くある戦争映画の一つの域を出ない。

いくら、「作家・井上ひさしさんの願いを、山田洋次監督がついに映画化」と、公式ホームページで言われていても、映画はそんな、製作に至る背景とかで、勝負してはならない。

 

映画は絵画とは違う。映画は2時間で勝負しないと。

製作エピソードとかは、言い訳にしか聞こえない。

 

個々のシーンは好きな部分が多く、当時、生まれていなかった私には勉強になることも多い。しかし、全体としてのストーリー展開に面白みが感じられない。

ただ、「かわいそうな人たちの話」になっている。

 

また、エンディング部分の宗教勧誘ビデオのような終わり方にはびっくりした。

帰りに壺でも買わされるのかと思った。

 

個々のシーンに見応えがあっただけに、ストーリー展開の平凡さと、エンディングの怪しい終わり方が残念。

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[映画レビュー]『杉原千畝 スギハラチウネ』(2015) 世界を知り、日本をより良い国に

今、杉原千畝氏についてザックリ知りたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:歴史好きだから。杉原千畝氏に関心があるから。
ジャンル:ドラマ

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会


–あらすじ–
1935年、満洲国外交部勤務の杉原千畝(唐沢寿明)は高い語学力と情報網を武器に、ソ連との北満鉄道譲渡交渉を成立させた。ところがその後彼を警戒するソ連から入国を拒否され、念願の在モスクワ日本大使館への赴任を断念することになった杉原は、リトアニア・カウナスの日本領事館への勤務を命じられる。同地で情報を収集し激動のヨーロッパ情勢を日本に発信し続けていた中、第2次世界大戦が勃発し……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

実話に基づいたストーリーということで、お勉強がてらに観る。

結果、感動はあったけど、泣くとかいうそういう類のものではなかった。

 

なんだろう。たぶん、杉原千畝氏の「苦悩」の部分の描写が意外とあっさりとしていたからか。

あと、調査能力が優れていたと言われる杉原千畝氏のスゴさとかも結構あっさりと描かれていて、スゴイ感があまり伝わってこなかったからか。

 

杉原千畝氏演じる唐沢寿明さんの英語のセリフには感心。ごく一部のセリフが英語になっているのかと思いきや、結構な量のセリフが英語であり、その英語も聞いていて、聞き苦しくない綺麗な日本人英語だったから。

すごい役者魂。ハリウッド進出も夢ではないか。

 

映画『ライジング・サン』(1993)に出てくるアメリカ人俳優の、子供の学芸会レベルの日本語のセリフとは大違いだ。(ご興味とお時間のある人は是非、こちらの映画もお楽しみを!!)

 

また、板尾創路氏が出てた。ちょっとお笑いのイメージ強すぎて。。なぜ板尾?、と。

しかも、やや重要なポジション。杉原千畝氏の嫁(小雪)の兄貴役という。

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

 

自分の家族を危険にさらしてまで、縁もゆかりもない外国人を助けることができるか?

杉原千畝役の唐沢寿明氏より、脇役の濱田岳氏のほうが、苦悩に満ちた感じが出ていたか。

守るべき家族がいる以上、下手なことをして仕事を失えない。でも、自分の信条に沿って行動したい気持ちもある。そんな葛藤の描写を期待していたのだが、濱田岳氏の苦悩のワンシーンが最高沸点という感じだった。

 

この杉原千畝氏の偉業、彼一人の力で成し遂げたと思われがちだが、そこには杉原千畝氏を慕う者たちの、多くの支えもあったようだ。

杉原千畝氏について、これまで名前と彼の功績の概要だけしか知らなかったが、少し深く彼を知ることができた。

 

そして、この手の映画を観ていつも思うことだが、戦争は酷い、と。

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[映画レビュー]『海難1890』(2015) 人を助ける、助けないを決める判断基準とは?

今、あらためて自身が日本人でよかったと思いたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:歴史好きだから。忽那汐里出演作に関心があるから。
ジャンル:ドラマ

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(C) 2015 Ertugrul Film Partners


–あらすじ–
1890年、和歌山県串本町沖。後のトルコであるオスマン帝国の親善使節団を乗せた軍艦エルトゥールルが座礁して大破、海に投げ出された乗組員500名以上が暴風雨で命を落とす。そうした過酷な状況下で、元紀州藩士の医師・田村元貞(内野聖陽)やその助手を務めるハル(忽那汐里)ら、地元住民が懸命の救援活動に乗り出す。イラン・イラク戦争中の1985年、日本政府は危機的状況を理由に在イラン日本人の救出を断念。そんな中、トルコ政府は彼らのためにある行動を取る。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

私自身、1890年の海難事故(エルトゥールル号海難事故)を知らなかった。

トルコではみんな学校でこの歴史的事実を習うらしい。日本人が古墳の形の違いを勉強している間に。

 

また、1985年イラン・イラク戦争時の、トルコ政府による在イラン日本人救出についても全く知らなかった。

日本人として、恥ずかしい。

 

よく言われることだが、近現代史はもう少し日本の歴史の授業で取り扱うべきかも。さもないと、私みたいな日本人が大量発生してしまう。

「クロスロード」の映画レビューでも書いたが、海外の人が知っている一方で、日本人が知らない「日本の歴史」がまだまだ世界中にたくさんある。日本人として国際的な場に出た時に、その辺の知識不足が露呈する。恥ずかしさでいっぱいになる。

 

この映画は実話に基づくお話で、劇場では映画冒頭にトルコ大統領の挨拶がビデオレターで流れた。「この映画は世界中の人に見て欲しい作品」とのこと。ちょっと欲張りな発言かもしれないが、すごく同意。

ストーリー展開自体は、歴史的事実を映像化しただけなため、想像されるままであり、次に何が起きる?のハラハラ感はない。しかし、その一つ一つの出来事の詳細な部分について、深く感じることのできる映画になっている。

 

学校の歴史の授業的に、出来事が発生した年と、その概要だけ知れれば良いというのであれば、この映画の予告編を見るだけでいいかもしれない。一方で、教科書的には一言で済んでしまう出来事を、二時間かけてじっくり映像で感じてみたいという人には、「是非どうぞ」と、おすすめしたい映画。

貧しい日本人たちが、時に自らの命をかけて、総力戦で、どこの誰かもわからない外国人を助けるシーンは想像以上に見応えあり。

トルコでどのようにこの歴史的事実が学ばれているかはわからないが、少なくともこの映画を観たら、自分がトルコ人であったなら、日本人を大好きになるであろう、そんな映画。

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[映画レビュー]『クロスロード』(2015) ボランティアは偽善で何が悪いのか?

今、青年海外協力隊の活動について知りたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:青年海外協力隊の活動がテーマの映画だから。
ジャンル:青春、ドラマ

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(c)2015『クロスロード』製作委員会


–あらすじ–
カメラマンを目指す沢田(黒木啓司)は青年海外協力隊に応募し、訓練所でボランティア精神あふれる羽村(渡辺大)と出会う。やがてフィリピンのマニラに赴任した沢田は、スラム街に暮らす子供たちと知り合い充実した日々を過ごす一方、現地の過酷な現実を目の当たりに。任期を終えカメラマンとして多忙な毎日を送る彼のもとに、東日本大震災の復興活動に励む羽村を取材するオファーが来て……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

EXILEの黒木啓司さん主演映画。

青年海外協力隊の活躍を描いた映画で、いままでありそうでいてなかった映画。

 

ストーリー展開としては、想像に難くなく、映画通であれば全てが想定できる展開。ゆえに、ストーリー上のドキドキを味わいたい人にはあまり楽しめない映画。

そうではなく、青年海外協力隊が実際どのように現地で活躍されているか、また、ボランティアとはそもそもどうあるべきか、などを考えたい人には非常に興味深い映画になっている。

この映画を観る目的が明確であれば、多少の臭い演技も問題ないと思えるだろう。

 

私自身、青年海外協力隊を一度経験しておきたかったと思っている一人なため、非常に興味深くこの映画を見ることができた。協力隊ではないが、海外留学を経験している私としては、日本出国前に抱いた理想の形が現地で実現できないもどかしさは痛いほどわかる。

青年海外協力隊創設50周年記念事業の映画ということで、しっかりと協力隊の紹介にも時間を割かれている。事前の70日間の合宿や、その合宿でどのような準備をするのか、など。

 

監督、脚本ともに青年協力隊OBということで、関係者一同総力をあげて作られた映画のようで。

「クロスロード」という、なんのひねりもない映画タイトルが惜しいが、青年海外協力隊の活躍について知るには十分満足のできる映画ではないか。

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[映画レビュー]『重力ピエロ』(2009) 「重力」をも跳ね飛ばす、父の強さ

今、「家族愛」を感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:原作が伊坂幸太郎氏。
ジャンル:青春、ドラマ

(C)2009「重力ピエロ」制作委員会

(C)2009「重力ピエロ」制作委員会


–あらすじ–
遺伝子を研究する泉水(加瀬亮)と芸術的な才能を持つ春(岡田将生)は、一見すると仲の良さそうな普通の兄弟だ。そんな二人の住む街では、謎の連続放火事件が発生していた。泉水と春は事件に深く踏み込み、家族を巻き込みながら次第に家族の過去にも近づいていくのだが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

最後にホロっと感動を誘う作品。

ミステリードラマちっくで、ただの謎解きものと思いきや、最後はしっかりと強いメッセージを発している。

 

ストーリー展開も秀逸。

通常映画は開始30分、90分あたりにそれぞれ話の大きな転換を持ってくるのだが、その絶妙なタイミングで、この映画は我々を前のめりにさせてくれる。

 

そして最後に父(小日向文世)のこの言葉で締めくくる。

「楽しそうに生きていれば、地球の重力なんて消してしまえるんだ」

この映画のタイトル「重力ピエロ」とは、そういう意味だったのか、と。

 

人はそれぞれに変えることのできないストーリーを持っているもの。

人間が地球の重力に逆らえないように。

しかしながら、ピエロのように、たとえ心では泣いていても顔で笑っていれさえすれば、重力さえ消せる、と。

 

扱っているテーマがやや重いだけに、観ていて不快な思いを抱くかもしれない。

また、同意できない部分もあるかもしれない。

 

そういう部分も含めて、この映画はたくさんの余韻を残してくれる。

 

原作伊坂幸太郎の映画の中でも、「アヒルと鴨のコインロッカー (2006)」と並んでオススメの一本。

是非、どこかのタイミングで手に取っていただきたい。

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