泣ける・感動する・ドラマ映画 邦画編

[映画レビュー]『起終点駅 ターミナル』(2015) 刑を宣告されるだけありがたいと思え

今、不器用な男の生き様を感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:佐藤浩市、本田翼、見たさに。
ジャンル:ドラマ

(c)2015桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会

(c)2015桜木紫乃・小学館/「起終点駅 ターミナル」製作委員会


–あらすじ–
北海道旭川の地方裁判所判事だった鷲田(佐藤浩市)は、覚せい剤事件の被告となった昔の恋人・冴子(尾野真千子)と法廷で再会。東京に妻子を置いてきた身でありながら、関係をよみがえらせてしまう。だが、その半年後に彼女を失って深く傷つく。それから25年後、鷲田は判事を辞め、妻子と別れ、釧路で国選弁護専門の弁護士として孤独な日々を送っていた。そんな中、担当することになった事件の被告人・敦子(本田翼)と出会った彼は、彼女に冴子の面影を見る。一方の敦子も鷲田に心を許し……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

想定通りの静かな立ち上がり。

大人のラブストーリーを期待していると少し違う。

人間いつでもやり直しできる的なメッセージ。

 

ただ、ものすごく間接的に伝えてくるので、感度が悪いとそのまま素通りで映画が終わってしまうかも。

そこは世界でもトップクラスの高コンテクストな日本人。顔の表情やしぐさから心を読み取るスキルを発揮したいところ。

 

ただ、感じるにしても限界があり、その点では、得られる情報がやや少な過ぎるかなと感じざるを得なかった。語らなすぎというか。そこまで観る側の解釈にまかせるか、的な。

 

人生の再出発を、薄く、非常に遠回しな表現で伝えている映画。

だから、観終わった後、号泣はない。ほのかな希望の光とともに、幕が下がっていく。続きは我々に委ねられる。

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[映画レビュー]『想いのこし』(2014) あたりまえのストーリーによるあたりまえじゃない感動

今、「金」と「女」以外に価値を見出したいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:岡田将生、広末涼子が出てるから。
ジャンル:ドラマ、ファンタジー、コメディ

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(C) 2014「想いのこし」製作委員会


–あらすじ–
考えることは金と女のことばかりで、お気楽に毎日を過ごすことがモットーの青年・ガジロウ(岡田将生)。そんなある日、交通事故が縁となって幽霊となったユウコ(広末涼子)ら、3人のポールダンサーと年配の運転手に出会う。小学生の息子を残して死んだのを悔やむユウコをはじめ、成仏できぬ事情を抱える彼らは遺(のこ)した大金と引き換えに無念の代理解消をガジロウに依頼。それを引き受けた彼は、花嫁姿で結婚式に出席したり、男子高校生に愛の告白をしたりと、それぞれの最後の願いをかなえていく。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

意外と泣ける映画である。

時々垣間見える、ちょっぴり恥ずかしくなるような昭和的な演出はさておき、「駄作なんじゃないか」という当初の私の予想を徐々に裏切ってくる。

 

ガジロウ演じた岡田将生のゲスっぷりもいい。ただ、ガジロウ最終形とのギャップを出すためにも、もっとゲスッっぷりを発揮しても良かったんじゃないかとも思う。

あまりやりすぎると、今後の岡田将生の爽やか俳優人生に影響を与えるのか、そのゲスッぷりも限度内であった。そこまで不快に感じさせないレベルで。

 

ポールダンサーという仕事にスポットを当てたところもいい。

私もつい先日まで、ポールダンスについてある種の偏見を抱いていた。それが、ひょんなことからポールダンスを観に行く機会があり、そのイメージは一新された。

この映画はポールダンス自体にフォーカスした映画ではないため、本格的なポールダンスを存分に楽しめる映画かというと、そうではない。しかしながら、少なくともこの映画を観るもののポールダンスへのイメージは変わるはずだ。広末涼子、木南晴夏、松井愛莉と、みな綺麗だった。

 

一見、深夜のテレビドラマレベルに思えるストーリー展開だが、そこから一段格上げしたメッセージを我々に返してくる。

最低男ガジロウの心が次第に変化していく様にも注目。一方で、突然の死を迎えたものたちが、それぞれ安らかな気持ちへと変化していく様も見どころである。

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[映画レビュー]『リトル・フォレスト 夏・秋』(2014) 「不便」とやらを、自然と楽しむ人たち

今、田舎でのスローライフを考えているあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:最近、家庭菜園を始めたから。スローライフに興味あるから。
ジャンル:ドラマ

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(c)「リトル・フォレスト」製作委員会

まず、この映画は、「リトル・フォレスト 冬・春 (2015) 」とセットで見るべき映画。そうしないと、映画としてあまりまとまりがないものになってしまう。

それぞれの季節で一時間ほどの話。2本合わせて春夏秋冬で計4時間。

ちなみに「夏・秋」編から観ないと、話が繋がらないので注意。人生は夏始まりということで。

どういう意味があるかはわからないが、人間勢い良く飛び出して、その後壁にぶち当たり、そして復活していく、みたいなものを、夏始まりで伝えたかったのかなと、勝手に想像。

 

ストーリー自体はいたって単調で、東北の片田舎で少女が一人で生きて行く、それを四季の移り変わりとともに追ったという話。

これは「映画じゃない」という人もいるかもしれない。
非常に好みの分かれる映画。

どちらかというと、ゆるい系の映画で、秋の夜長にピッタリの映画なのかな。
夜中にボーッっと観る感じが心地良いかも。あまりボーッとしてると眠くなりますけどね。

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[映画レビュー]『僕たちの家族』(2013) 写真には映らない家族の本当の姿

今、家族の絆を見つめ直したいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:飛行機の中でたまたま観た。
ジャンル:ドラマ

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(C) 2013「ぼくたちの家族」製作委員会

典型的な日本の家族、つまり、家族だけど滅多に顔も合わせない、ただ単に法的につながっているだけのようなひとつの家族が、母の病気をきっかけに絆深まる的な話。

すごくありがちな話にもかかわらず、なぜか2時間引き込まれた。

 

私自身、一時期アメリカに滞在していたのだが、その時に感じた文化の違いの一つが、アメリカ人は職場のデスク上が家族の写真だらけ、ということ。いつも心は家族と一緒アピールをしているように。

一方、日本で、日本人で、まずそんなことをしている人は見かけない。外国帰りの日本人がたまに真似してやるぐらいか。

 

自分はデスクに家族の写真とかは置かない。なんか、嘘くさいから。

しかし自分の家族を愛していないかというと、そうではない。

そんな日本人のある種不器用な姿が、この映画でうまく表現されているように感じた。

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[映画レビュー]『メゾン・ド・ヒミコ』(2005) したいけどできない、わからない

今、ゲイに対する理解を深めたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:監督が「ジョゼと虎と魚たち」の犬童一心監督
ジャンル:ドラマ

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(C)2005 「メゾン・ド・ヒミコ」製作委員会

難しいテーマの映画であり、ゲイの世界を知らない自分にはいまいちこの映画は消化しきれないものがある。

また、この映画がどこまでがゲイの世界の真実を語っているのかもわからないが、この映画のストーリーだけを元に言及するということでレビューを書いてみたいと思う。

 

この映画は、メゾン・ド・ヒミコというゲイのための老人ホームで暮らす人たちやそのホームに関わる人たちのお話。

想像に難くなく、日本では彼らゲイに対する世間一般の目は厳しい。その世間一般の目としての役割を果たしていたのが、映画の中の地元の中学生たち。彼らによる、子どもだからこその容赦ないホームへのいたずらが、当時の日本におけるゲイの人たちに対する姿勢の表れなのかもしれない。

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[映画レビュー]『フィッシュストーリー』(2009) 一人一人の行動にはすべて意味がある

今、自分のしていることに疑問を感じているあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:原作が伊坂幸太郎氏。
ジャンル:ドラマ

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(c)2009「フィッシュストーリー」製作委員会

まずこの映画は気楽な気持ちで観るぐらいが丁度いい。軽くファンタジーの世界に入ってみたいといった感じのときに。

全くヒットしなかったパンクバンドの作った一曲が、結果的にいろいろな人間の人生に影響を与えていく、そんなある種、夢のあるストーリー。

 

ただ、この映画をフィクションの世界であるとして単に切り捨てるにはあまりにも惜しい。

正直そこまで深みのある映画とは思えないが、そんな中にもいくつかの心に響くメッセージがある。

 

ストーリーのコアな部分ではないが、「正義の味方」というものになるために、いつ使うかわからない戦いの技術を磨きに磨き上げ、ついにはそのすべてを使うことにある種恵まれたコック(森山未來)の放つ一言。

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(c)2009「フィッシュストーリー」製作委員会


「大事なのは、職業や肩書きではない。準備だ。」

いまいち言葉のクリアな意味はわからないものの、伝わってくるものがある。

 

なりたいものになってから準備するのではなく、そうあるんだと自分で気持ちをコミットさせたらその時点から準備に入ることは人生において大切だ、そうしないと絶好のチャンスを逃してしまうことになる、ということではないか。

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[映画レビュー]『アヒルと鴨のコインロッカー』(2006) アヒルと鴨の不器用でありながらも美しい心の交流

今、ほろ苦い青春の一ページを振り返りたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:原作が伊坂幸太郎氏。
ジャンル:ドラマ、青春

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(C)2006 『アヒルと鴨のコインロッカー』製作委員会

映画はいつも、観る人によってその受け止め方がかなり変わってくるものだが、この映画は特に観る人にとって感じる部分が異なってくる映画であろう。

 

私がまず感じた部分は、日本に住む外国人の日本での生活のしにくさである。率直に言って、日本という国は外国人には冷たい国である。

特に私自身が日常的に外国人と接する機会が多いため、必要以上にこの部分に強く感じるところがあったのかもしれない。

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(C)2006 『アヒルと鴨のコインロッカー』製作委員会

 

それがすごく伝わる部分が、ストーリー中盤以降の、「日本を見るドルジの視点」が変わった時である。
※ドルジとは、劇中に出てくるネパール人留学生。

 その視点が変わった瞬間、自分もハッとさせられた。相手の立場になって考えるとはこういうことなのかと。

ちょうど、映画「評決のとき (1996)」のラストシーンで衝撃を受けたときのような感じで。

 

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[映画レビュー]『横道世之介』(2013) 「あいつ今、どうしてるかな」と懐かしくなる

今、ほっこり気分を味わいたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:レビューサイトで高評価だったから。
ジャンル:青春、ドラマ

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(C) 2013『横道世之介』製作委員会

160分と長い作品だが、その時間の長さを感じさせない。

一言で言って、トムハンクス主演映画「フォレスト・ガンプ」の日本版かな?とも思ったが、より、正確に言うと、フォレストガンプとインド映画の「きっと、うまくいく」を足して2で割って日本語バージョンとして作ったものといった感じ。

批判しているのではなく、事実そう感じた。ということで、真新しさはない。

 

ただ見終わった後に、ほっこりすること確実の映画。

世之介(高良健吾)が、いい男なのに田舎者でダサい。そして素直でちょっと変。そんな奴、学生時代に一人は周りにいたであろう。

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(C) 2013『横道世之介』製作委員会

 

この横道世之介という男、一言で言うと「いいやつ」なのである。

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[映画レビュー]『ゆれる』(2006) 誰のための嘘なのか

今、敷かれたレール人生から抜け出したいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:オダギリジョー。香川照之。真木よう子。
ジャンル:ドラマ、サスペンス

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(C)2006「ゆれる」製作委員会

生真面目な兄、遊び人の弟。

 

真面目に生きてきて、人が決めた人生、そこから外れなければリスクもない人生、ある意味想定通りの人生を送ってきた兄、稔(香川照之)

敷かれたレールもなく、自分の意志のまま、自己責任のもと自分で意思決定をし生きてきた結果、成功を収めた弟、猛(オダギリジョー)。

ありがちな、想像に難くない兄弟関係。

 

そしてこの兄弟の幼馴染である智恵子(真木よう子)。

その智恵子の一言、

「失敗をしちゃいけないと思ってたら何もない人生になっちゃった」

が、心に残る。

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(C)2006「ゆれる」製作委員会

 

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[映画レビュー]『八日目の蝉』(2011) 生きていれば誰にでもこの「八日目」は存在する

今、想定通りにいかない事態に立ち向かう勇気が欲しいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(5/5)
観た理由:第35回日本アカデミー賞最優秀作品賞。
ジャンル:ドラマ、サスペンス

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(c)2011映画「八日目の蝉」製作委員会

限られた時間をどう過ごすか、そして想定していなかった時間をどう生きていくか、考えさせてくれる映画。

 

蝉は成虫してからたった七日間しか生きない。それがもし、八日目も生きたとしたら、どう生きていけばいいのだろうか。

不倫相手の娘を誘拐し、限られた時間(七日間)過ごした希和子(永作博美)がいる一方で、「八日目」という「想定していなかった、そもそも存在しなかったはずの時間」を過ごさざるをえなかった人たちがいる。

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