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[映画レビュー]『天空の蜂』(2015) 子供は蜂に刺されて初めて痛みを知る

今、原発問題について再度考えたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:今話題の日本映画。原作が東野圭吾氏。
ジャンル:サスペンス、アクション

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(C) 2015「天空の蜂」製作委員会

原発について意見が二分する今の世の中に、この映画を投入した意義は大きい。

しかしながら、原発について賛成か反対かを問うのがこの映画の目的にはなっていない。

沈黙は一番の罪である。声を上げているのは一部の影響を受けた者だけであり、他の者は自分自身が痛みを伴わない限り何も感じないようだ。そしてそれが今の日本ではないか。

そんなメッセージがこの映画から受け取れる。

 

また、劇中での以下の一言でそれが表現されている。

「子供は蜂に刺されて初めて痛みを知る」

 

一つ残念なところがある。

それは、この映画が原発反対サイドに偏った作りになっているところ。そして、政府の人間(原発推進派)が悪者であることが前提になって作られているところ。

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[映画レビュー]『キッズリターン』(1996) 生きていく上での逃げ場なんてどこにもない

今、何かをやり直したいと考えているあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:北野武映画。
ジャンル:ドラマ、青春

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(C)1996 バンダイビジュアル/オフィス北野

他の北野武作品もそうだが、とことんリアルを追求している映画。

人の仕草や考え方、行動に至るまで、おそらく自分でもそうしただろうなと共感する部分が多くあり。

 

また、有名な俳優を極力使わない事でも知られている北野映画。

それだけに、誰に何が起きるか(誰が殺られるのか)全く想像もつかなく、見ていて緊迫感がある

 

この映画は主演二人の男を中心とした若者たちの人生の一コマを切り取り映像化したもので、淡々と物語が進んで行く。

その淡々さと映画全体に漂う静けさは、ハリウッド映画でいうならクリントイーストウッド監督作品にも共通するものを感じる。

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[映画レビュー]『フィッシュストーリー』(2009) 一人一人の行動にはすべて意味がある

今、自分のしていることに疑問を感じているあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:原作が伊坂幸太郎氏。
ジャンル:ドラマ

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(c)2009「フィッシュストーリー」製作委員会

まずこの映画は気楽な気持ちで観るぐらいが丁度いい。軽くファンタジーの世界に入ってみたいといった感じのときに。

全くヒットしなかったパンクバンドの作った一曲が、結果的にいろいろな人間の人生に影響を与えていく、そんなある種、夢のあるストーリー。

 

ただ、この映画をフィクションの世界であるとして単に切り捨てるにはあまりにも惜しい。

正直そこまで深みのある映画とは思えないが、そんな中にもいくつかの心に響くメッセージがある。

 

ストーリーのコアな部分ではないが、「正義の味方」というものになるために、いつ使うかわからない戦いの技術を磨きに磨き上げ、ついにはそのすべてを使うことにある種恵まれたコック(森山未來)の放つ一言。

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(c)2009「フィッシュストーリー」製作委員会


「大事なのは、職業や肩書きではない。準備だ。」

いまいち言葉のクリアな意味はわからないものの、伝わってくるものがある。

 

なりたいものになってから準備するのではなく、そうあるんだと自分で気持ちをコミットさせたらその時点から準備に入ることは人生において大切だ、そうしないと絶好のチャンスを逃してしまうことになる、ということではないか。

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[映画レビュー]『アヒルと鴨のコインロッカー』(2006) アヒルと鴨の不器用でありながらも美しい心の交流

今、ほろ苦い青春の一ページを振り返りたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:原作が伊坂幸太郎氏。
ジャンル:ドラマ、青春

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(C)2006 『アヒルと鴨のコインロッカー』製作委員会

映画はいつも、観る人によってその受け止め方がかなり変わってくるものだが、この映画は特に観る人にとって感じる部分が異なってくる映画であろう。

 

私がまず感じた部分は、日本に住む外国人の日本での生活のしにくさである。率直に言って、日本という国は外国人には冷たい国である。

特に私自身が日常的に外国人と接する機会が多いため、必要以上にこの部分に強く感じるところがあったのかもしれない。

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(C)2006 『アヒルと鴨のコインロッカー』製作委員会

 

それがすごく伝わる部分が、ストーリー中盤以降の、「日本を見るドルジの視点」が変わった時である。
※ドルジとは、劇中に出てくるネパール人留学生。

 その視点が変わった瞬間、自分もハッとさせられた。相手の立場になって考えるとはこういうことなのかと。

ちょうど、映画「評決のとき (1996)」のラストシーンで衝撃を受けたときのような感じで。

 

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[映画レビュー]『横道世之介』(2013) 「あいつ今、どうしてるかな」と懐かしくなる

今、ほっこり気分を味わいたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:レビューサイトで高評価だったから。
ジャンル:青春、ドラマ

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(C) 2013『横道世之介』製作委員会

160分と長い作品だが、その時間の長さを感じさせない。

一言で言って、トムハンクス主演映画「フォレスト・ガンプ」の日本版かな?とも思ったが、より、正確に言うと、フォレストガンプとインド映画の「きっと、うまくいく」を足して2で割って日本語バージョンとして作ったものといった感じ。

批判しているのではなく、事実そう感じた。ということで、真新しさはない。

 

ただ見終わった後に、ほっこりすること確実の映画。

世之介(高良健吾)が、いい男なのに田舎者でダサい。そして素直でちょっと変。そんな奴、学生時代に一人は周りにいたであろう。

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(C) 2013『横道世之介』製作委員会

 

この横道世之介という男、一言で言うと「いいやつ」なのである。

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[映画レビュー]『ゆれる』(2006) 誰のための嘘なのか

今、敷かれたレール人生から抜け出したいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:オダギリジョー。香川照之。真木よう子。
ジャンル:ドラマ、サスペンス

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(C)2006「ゆれる」製作委員会

生真面目な兄、遊び人の弟。

 

真面目に生きてきて、人が決めた人生、そこから外れなければリスクもない人生、ある意味想定通りの人生を送ってきた兄、稔(香川照之)

敷かれたレールもなく、自分の意志のまま、自己責任のもと自分で意思決定をし生きてきた結果、成功を収めた弟、猛(オダギリジョー)。

ありがちな、想像に難くない兄弟関係。

 

そしてこの兄弟の幼馴染である智恵子(真木よう子)。

その智恵子の一言、

「失敗をしちゃいけないと思ってたら何もない人生になっちゃった」

が、心に残る。

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(C)2006「ゆれる」製作委員会

 

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[映画レビュー]『ジョゼと虎と魚たち』(2003) なぜ、「ジョゼ」なのか?それは。。

今、清々しい気持ちになりたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(5/5)
観た理由:池脇千鶴。
ジャンル:ロマンス、ドラマ

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(c)2003『ジョゼと虎と魚たち』フィルムパートナーズ

ジョゼ(池脇千鶴)はいわゆる障害者。

一緒に住んでるおばあからも「壊れもん」と言われ、人目につかないような生活を強いられてきた。

 

しかしながらこの映画は、障害者がかわいそうと思うための、そんなレベルの映画ではない。

 

ではラブストーリーなのか?

 それも違うような気がする。

 

恒夫(妻夫木聡)という大学生との一つのラブストーリーとしてだけでこの映画を語るのは相当イタい。

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[映画レビュー]『八日目の蝉』(2011) 生きていれば誰にでもこの「八日目」は存在する

今、想定通りにいかない事態に立ち向かう勇気が欲しいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(5/5)
観た理由:第35回日本アカデミー賞最優秀作品賞。
ジャンル:ドラマ、サスペンス

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(c)2011映画「八日目の蝉」製作委員会

限られた時間をどう過ごすか、そして想定していなかった時間をどう生きていくか、考えさせてくれる映画。

 

蝉は成虫してからたった七日間しか生きない。それがもし、八日目も生きたとしたら、どう生きていけばいいのだろうか。

不倫相手の娘を誘拐し、限られた時間(七日間)過ごした希和子(永作博美)がいる一方で、「八日目」という「想定していなかった、そもそも存在しなかったはずの時間」を過ごさざるをえなかった人たちがいる。

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[映画レビュー]『それでもボクはやってない』(2007) やっていなくても走って逃げるべき現実

今、電車通勤しているあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:監督に周防正行。気になるテーマ。
ジャンル:ドラマ

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(c)2006 フジテレビジョン アルタミラピクチャーズ 東宝

あまり後味の良い映画ではないので、再度見たいとは思わないが、一度は見ておきたい映画。

 

そもそもなんでこんなことで裁判になるのかって、おそらく外国の人には理解できないことなのかなあと思う。

悪いことやったのなら謝る、やってないのならやってないという、と、子供の頃、親に教えられてきたことが世の中では通用しないことを、この映画は教えてくれた。

 

テレビでとある弁護士が話していた。「痴漢の疑いをかけられても絶対に駅事務所にはいかないこと」と。駅事務所に行ったらほぼ有罪確定とのこと。だから、走って逃げるべしと。

自分だったらどうするか。

 

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[映画レビュー]『桐島、部活やめるってよ』(2012) 物質的自由か、精神的自由か。

今、自分がこれまで信じてきた価値観を見つめ直したいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:出演者に神木隆之介。気になる映画タイトル。
ジャンル:青春、ドラマ

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(C)2012「桐島」映画部 (C)朝井リョウ/集英社

映画全体としては、事細かな説明は一切なく、観るものそれぞれの感性に直接訴えるような作品。

 

この映画で見る高校生活のワンシーン、ワンシーンは、日本人なら一誰もが一度は通って来た道。

それだけにネイティブ日本人である我々には、必ずや共感する部分がある。

 

ただ、この映画の場合、舞台は高校生活であっても、高校生の生活がどうだのああだのといった話ではない。

 

つまり、高校生活を舞台にしてるが、大人の世界に置き換えることの出来るストーリーでもある。

本作では、あえて設定を高校生活にして、観ている人にわかりやすく、メッセージを伝えようとしているのではないか。

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