[映画レビュー]『ルーム』(2015) 想定内のストーリーから想定外の衝撃

今、未開拓の感情を突いてほしいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:監禁地獄から脱出するというシンプルなストーリーをどう深く描くのだろうと興味あった。
ジャンル:サスペンス、ドラマ
原題:ROOM
泣ける度:涙は出ないけど泣けてくる

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(C) ElementPictures / RoomProductionsInc / ChannelFourTelevisionCorporation2015


–あらすじ–
施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

観る前に抱いたこの映画へのイメージ、それは、

「長らく監禁されていた母と息子がついに脱出する。外の世界って素晴らしい。」以上。

 

これ面白いか? と。

 

実際にあった事件から着想を得て書かれた小説がもとになった映画とのことで、その意味ではある程度、感動するかもしれないが。

2016年アカデミー賞作品賞のノミネート作品というだけで、それがイコールで満足させてくれる映画とも限らないし。

 

そんな、ややハードルを上げた状態でこの映画を鑑賞。

ストーリー展開としては、ほぼ想定通り。特別なことは何もない。ただ、想定内のストーリー展開から、想定外の衝撃をもらった感じ。

 

映画の原作である小説の元となった話はあるようで。この手の誘拐・長期監禁事件は世界でいくつか報告されていて、世界ビックリシリーズ的な番組を通じて日本人の我々もどこかで聞いたことがある話。

ただ、この映画のストーリー自体は小説がベースとなったフィクションのとのこと。ということで、ダイレクトに実話ベースではないらしい。

 

閉じ込められた納屋から脱出するまでの展開には手に汗握る。

そして、「部屋」からの脱出自体が事の解決ではないことを、この映画は教えてくれる。

 

ストーリー前半部分の監禁生活のひどさもある意味見どころだが、むしろより注目すべきは映画後半に描かれる脱出後の生活。

自由を得たはずなのに自由じゃない、幸せになったはずなのに幸せじゃない。

 

ただ単に、誘拐・監禁犯罪のひどさを語る以上のメッセージあり。

心的にもそこまで重くなく、無理に泣かせる系映画でもなく、観るものの心にそれぞれのメッセージを届けてくれる、上質な映画。

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[映画レビュー]『あやしい彼女』(2016) 安易な破茶滅茶コメディにしなかったところが成功の要因か

今、良いお母さん、そして、良いおばあちゃんになりたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:多部未華子、要潤と、渋いキャスティングだから。
ジャンル:コメディ、ドラマ、ファンタジー
泣ける度:(4/5)

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(C) 2016「あやカノ」製作委員会 (C) 2014 CJ E&M CORPORATION


–あらすじ–
女手一つで娘を育て上げた73歳の瀬山カツ(倍賞美津子)は頑固でおせっかいな性格のため、周りからは敬遠されがち。ある日、ふと入った写真館で写真を撮り店を出ると、20歳のときの若々しい姿のカツ(多部未華子)になっていた。カツはヘアスタイルやファッションを一新、名前も節子にし、人生を取り戻そうと決意。その後、のど自慢大会で昭和歌謡を歌ったことから……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

とにかくキャスティングが渋い。多部未華子と要潤。

それだけでまず食いついた。

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(C) 2016「あやカノ」製作委員会 (C) 2014 CJ E&M CORPORATION

 

で、実際映画を観てみると、志賀廣太郎、小林聡美と、脇役がいい味出してた。

脇が完璧だから、主演が引き立つ感じで。

 

韓国映画がオリジナルらしいけど、それは見てない。から、比較はできない。

海外映画の場合、ノスタルジーの部分はどのように表現されているのか、そのあたりは興味深いところ。韓国映画のノスタルジー表現は、外国人である日本人に通ずるものがあるのか、など。

 

本映画、歌もの映画典型の話のまとめ方で、いたってシンプルなストーリー展開だが、発せられるメッセージが深いせいか、観ていて次第に惹きつけられる。

劇場では、泣いている人もちらほら。

 

また、爆笑するほどの面白さはないが、多部未華子のブレない演技に心躍らされる。

話の内容から考えても、多部未華子のキャスティングは、あらためて納得感あり。

 

前半なかなか多部未華子が出てこないから心配したが、そのやや長すぎると感じる前フリが、映画後半に効いてくる。

安易な破茶滅茶コメディにしなかったところが成功の要因か。

 

この手のファンタジー系映画って、予告編だけ観ると、なんだか安っぽい印象しか残らないことが多い。だが、実際本編をガッツリ観てみると、そこから発せられるメッセージの深さと、安っぽい予告編とのギャップに、いい意味で驚かされる。

正直、観て良かったと思える映画。

 

観終えた後、心が温まった。

そして、何か大切なものを思い出したような感じになれた。

 

老若男女、みな楽しめる映画。

特に、女性にとっては共感する部分の多い映画ではないか。

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[映画レビュー]『ちはやふる -上の句-』(2016) 「静」と「動」のメリハリがダイナミックさを加速させる

今、時を超えても変わらない人の想いを感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:百人一首にフォーカスした渋いストーリの映画だから。
ジャンル:青春、ドラマ
泣ける度:(3.5/5)

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(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社


–あらすじ–
同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

40も過ぎたオッさんが、こんな青春映画を観に行くのはちょっとキモいが、それを承知で映画館に観に行った。

劇場には他にもオッさん族がちらほらいて安心したが、ほとんどが春休みに入った学生たち。

 

その学生たちのほとんどが、満足げな表情で映画館を出て行った。

そして、私はというと、これまた満足顔だった。

 

百人一首という題材がよかったのか、「静」と「動」のメリハリがあり、ダイナミックさを加速させていた。

そして、かるた目線で下から競技者を見上げるアングルが、迫力満点。

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(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社

 

高校生同士の、むずがゆくなるような恋愛もの映画と思いきや、そんなちんけなものではない。

百人一首がわからない人でも自然と入り込める世界が出来ており、時折入れ込んでくる詩の解説が、ストーリーに深みを加えていた。

 

漫画が原作のため、「そんなやついないだろ」と思ったらそれで思考停止。

自然に笑えて、心地よく観終えることのできる、こころ温まる映画。

 

「ちはやふる -下の句-』(2016)は4月29日から。

前後編に分かれてる映画はあまり好きじゃないが、前編『ちはやふる -上の句-』(2016)は、これ単体でもしっかり物語が完結していて、思ったほどの不快感はない。

 

後編『下の句』では松岡茉優が投入されるようで、さらに加速していくぞ感を感じる。

原作はどんなだか知らないが、この実写版映画は学生じゃない大人なオッさんでも十分楽しめたので、オッさん族も恐れず映画館へ向かうべし。

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[映画レビュー]『ウソツキは結婚のはじまり』(2011) ハジけるニコール・キッドマンを堪能できる

今、アメリカンコメディー好きなあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:たまたま飛行機の中で上映されていたのを観た。
ジャンル:コメディ、ロマンス
原題:JUST GO WITH IT
泣ける度:(1.5/5)

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(c) 2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.


–あらすじ–
1988年、心臓医見習いのダニーは結婚式の一時間前、婚約者と妹が自分の大きな鼻のことをバカにしていたことを知る。バーでマリッジリングを眺めながら酒を飲んでいると、隣に女性が座った。指輪のことで誤解されつつも、健気な夫を演じてみせたダニーは同情を誘うことに成功。美容外科医となって鼻を整形し、指輪を使って数々の女性と浮き名を流す。時は流れて2011年、ダニーは美しい小学校教師パーマーと出会う。2人は運命を感じるが、指輪を見たパーマーは彼の元を去る。パーマーへの思いをあきらめられないダニーは…。
allcinema ONLINE

映画の率直な感想から

アメリカの人気コメディアンで主演のアダム・サンドラーを知ったのが、1996年、映画『俺は飛ばし屋/プロゴルファー・ギル』(原題:Happy Gilmore)を観た時である。

当時、私自身がちょうどアメリカに滞在していた時で、ややアメリカナイズされていたせいか、彼の発するバカバカしさに大喜びする自分がいた。

 

日本のコメディーとアメリカのコメディーは笑いのツボが違うと言うが、まさにアダム・サンドラーの笑いはアメリカ人好みの笑いと感じる。

ゆえに、我々日本人にとっては、好き嫌いの分かれる笑いになるだろう。

 

アダム・サンドラー主演コメディー映画の特徴としては

  • まずビジュアルで、出オチ的に笑わせる
  • 老人や体の不自由な人をコケにする、ちょっと日本じゃ受け入れられなそうな笑いで攻めてくる
  • 最初は笑いで始まるが、最後はハートウォーミングな、お涙を誘う形で仕上げる

上記アダム・サンドラー的コメディー映画の方程式を好む人であれば、本作に限らず、彼の出演作は全てチェックしたほうがいい。たぶん、大好きな笑いのはず。

 

私の場合、彼のこの手の笑い、大、大、大スキで、これまで彼の作品は全て観ていたが、今は、やや冷めた感じになってしまった。

たくさん笑いすぎたせいか、もう彼の笑いには大爆笑はできない体になってしまったが、それでもポップコーンを食いながら、ほんわかとテレビの前で横になって観るにはちょうどいいコメディー映画。

 

今作は、あのアメリカの人気テレビドラマ『フレンズ』のレイチェル役でおなじみのジェニファー・アニストンや、トム・クルーズの前妻としても知られるニコール・キッドマンも出演。

それぞれが非常にいい味を出していて、主演のアダム・サンドラーをサポートする。

 

とにかく好きな人は好きというタイプのコメディーもののため、広く多くの人におすすめできる作品ではないが、一度観てみて自分に合う笑いかどうか、確認してみるのが良いだろう。

軽く笑い、楽しい気分で過ごしたい夜におすすめの映画。

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[映画レビュー]『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016) 数々の名言から理想の生き様を見出す

今、男が惚れる、理想の生き様に触れたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:阿部寛、岡田准一、尾野真千子と、好きな俳優勢揃いだったから
ジャンル:ドラマ、アドベンチャー
泣ける度:(1.5/5)

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(c)2016 「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会


–あらすじ–
ネパールの首都カトマンズ。ヒマラヤ山脈が見えるその街で、日本人カメラマンの深町誠(岡田准一)は古めかしいカメラを見つける。それはイギリス人登山家ジョージ・マロリーが、1924年6月8日にエベレスト登頂に初めて成功したか否かが、判断できるかもしれないカメラだった。カメラについて調べを進める深町は、羽生丈二(阿部寛)というアルピニストの存在にたどり着く。他人に配慮しない登山をするために孤高の人物となった彼の壮絶にして崇高な人生に触れるうちに、深町の胸にある思いが生まれる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この手の映画はやっぱり映像に見応えがある。

エヴェレストの美しさはもちろんのこと、ネパールにあるエヴェレスト登山の拠点となる街の風景なども、生涯ネパールを訪れることはないかもしれない私にとってはすごく楽しめた映像。

 

では、肝心のストーリーの方はどうか。

予告編映像にて、おもいっきり謎解き的な前振りをしているにも関わらず、最後にはそんな謎解きどうでもよくなってしまった感が否めない。

つまり、何を伝えたいのかの焦点がいまいち定まっていないような、そんな印象を受けた。

 

これは、登山するのに特に明確な理由がないのと同様に、この映画自体にもクリアなメッセージは求めるなということか。

それぞれが、それぞれに、勝手にメッセージを感じて持っていけと言わんばかりの、ある意味身勝手な作りの映画。

 

そして、山の映像がいっぱい出てくると思いきや、そうでもない。

エベレストの厳しさというよりもむしろ阿部寛演じる登山家、羽生丈二の生き様にフォーカスを当てたストーリー。

 

岡田准一氏は主役と思いきや、事実上の主役は阿部寛である。

尾野真千子も結構チョイ役。

 

どうせ観るなら映画館で観たい映画。

エヴェレスト自体の過酷さを、より感じたいのであれば、『エベレスト 3D』(2015) のほうのがオススメかもしれない。

 

登山家、羽生丈二の生き様から何を感じれるだろうか。

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[映画レビュー]『マネー・ショート 華麗なる大逆転 』(2015) なんとなく頭良くなった気になれるが、頭良くはなれない映画

今、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:ブラピの久々の出演作だから。予告が面白そうだったから。
ジャンル:ドラマ
原題:THE BIG SHORT
泣ける度:(0.5/5)

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.


–あらすじ–
2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

ブラッド・ピットこと、ブラピが出てるというだけで判断して観に行くと怪我をする。

いわゆるマネーゲーム的な実話をベースとした映画で、この映画でのキーワードとなる金融用語「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)についてだけ、事前予習しておけば良いかというと、そうではない。

 

もっと、もっと、金融商品について知識がないと、きっと、楽しめない。

金融用語だけではなく、そもそもの経済の仕組みについても理解していないと、この映画楽しかったフリをするだけで終わってしまう。

 

ではガッツリ勉強してからこの映画を観に行けばいいのか?

それも違う。

 

にわか勉強ではこの映画楽しめない。

つまり、ごく一部の経済通の人間が、お楽しみできる映画。

 

普通に考えて、100人に1人が理解できるかどうかレベル。

大学院でMBA課程を修了した私でも、経済用語の連発に頭が混乱し、映画を楽しむどころではなかった。

 

劇中、必死に色々な例えを使って解説を試みるも、それは、なんとなくわかった気にさせるだけ。

また、映画出演者が突然横を向き、解説を始めるシーンも何度かあるが、そんなシーン入れたらもう、「この映画、つまらないですから。」と言っているようなもの。

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 

映画の価値は余韻を楽しませるという点において、ぶち壊しにしてくれる。

ギャグの面白さを、ギャグを言ってからここが面白いところと説明しているようで、寒い。

 

これまでも、マネーゲーム的映画はあれど、それらは素人でも理解できるレベルに経済的内容の部分をシンプルにして、映画的面白さの追求を忘れていなかった。

しかし、この映画は一般の人たちには難しすぎる。

 

ただ一つ、人が不幸になる事によって利益を得る輩に対し、ある種のメッセージ的なものがあったのが良かった。

あと、損をするのは、無知な、自分で考える事を止めた人たちであるという事を、映画を通じて教えてくれた。

 

かなり、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたい人にはおすすめな映画か。

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[映画レビュー]『珍遊記』(2016) 松ケンのケツに1800円払えますか?

今、下品なギャグ映画を観たいあなたに少しだけおすすめの映画

観て良かった度:(2/5)
観た理由:原作のファンだったから。
ジャンル:コメディ
泣ける度:笑いすぎて泣けると思いきや、そうでもなかった。

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(C)漫☆画太郎/集英社・「珍遊記」製作委員会


–あらすじ–
天竺へと旅をしていた僧侶の玄奘(倉科カナ)は、たまたま寄った家の老夫婦から妖力で悪さをする不良息子・山田太郎(ピエール瀧)の更生を頼まれる。玄奘は、宝珠を駆使し妖力を封印することに成功。さらに、玄奘は力を失った太郎(松山ケンイチ)を引き取り、旅に同行させることに。道中さまざまな騒動を巻き起こす太郎は……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

くだらなさの究極をいってほしかったが、そうでもなかった。

主演の松山ケンイチこと松ケンの吹っ切れっぷりは、尊敬するものがあったが、それ以外では特に驚きもなく。

 

溝端淳平氏がある種隠し味的に出演していたのだが、やはりイケメン俳優、将来のことも考えてか、松ケンほどは吹っ切れていなかった模様。

溝端淳平や倉科カナあたりの準主役級が、松ケン以上に吹っ切れていたりすると、サプライズとしても面白さが増したのではないか。

 

結局、終始「半笑い」の顔のまま終了。

だんだんとトーンダウンしていく形で、尻つぼみで。

 

そもそもそんなに期待をして映画館に観に行っているわけではないが、やるなら徹底的にバカバカしく作って欲しかった。

原作通りに忠実に物語を進める必要はないが、原作者である漫☆画太郎氏のバカバカしさイズムはしっかりと継承してほしかった。

 

この映画にストーリー性を求めている人はいないだろう。

であれば、懐しのバカバカしいギャグ、汚い言葉遣いを、速いテンポでどんどんぶち込んできて欲しかった。

 

「かぶいてる」って言葉、流行ったな。

少しだけ懐かしさを感じつつも、物足りなさが多く残った。

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[映画レビュー]『ヘイトフル・エイト』(2015) 丸3時間、終始緊張しっぱなし

今、タランティーノ的活劇が大好きなあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:タランティーノ映画はファンではないものの気になって仕方がないから。
ジャンル:アクション、西部劇
原題:THE HATEFUL EIGHT
泣ける度:泣ける要素ゼロ

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(C) MMXV Visiona Romantica, Inc. All rights reserved.


–あらすじ–
雪が降りしきる中で馬を失った賞金稼ぎマーキス(サミュエル・L・ジャクソン)は、同じ稼業であるジョン(カート・ラッセル)と彼が捕らえたデイジー(ジェニファー・ジェイソン・リー)を乗せた駅馬車に同乗する。途中で保安官を名乗るクリス(ウォルトン・ゴギンズ)を拾った馬車は、猛吹雪から避難するためにミニーの紳士洋品店へ。メキシコ人の店番ボブ(デミアン・ビチル)や怪しげな絞首刑執行人オズワルド(ティム・ロス)などの存在にジョンが強い警戒心を抱く中で、事件が起こる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

舞台演劇のような映画。

シーンのほとんどが小屋の中で行われる密室劇。

 

クエンティン・タランティーノ監督・脚本。

上映時間、168分。つまり、約3時間弱。

 

こう聞くと、コアなタランティーノファンしか好きにならなそうな映画に思えるが、今作はタランティーノ映画の中でもどちらかというと万人受けする方であろう。

映画なのに、章立てな構成であり、章ごとにタイトルも付いている、かなりわかりやすいストーリー展開。

 

また、緊迫感半端なく、この人は有名俳優だから最後まで死なないとか、そういった安易な発想を吹っ飛ばしてくれる。

予定調和のストーリー展開に飽き飽きしている映画オタクが作ったみたいな映画になっている。

 

ただ、暴力あり、残酷であり、グロい。

そしてだんだんスクリーンを直視できなくなってくる。

 

アメリカ版の「日本昔話し」を観ているような感覚でもある。

言っている意味がよくわからないが、つまり、童話的な面白さがあり、その設定が西部劇になっているという感じで。

 

アクションあり、コメディー要素ありの内容だが、最後までシリアスさは忘れない。

状況の変化に応じて、各自置かれている立場が変わっていく過程が秀逸。

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(C) MMXV Visiona Romantica, Inc. All rights reserved.

 

誰と誰がグルで、どっちの側に付いた方が自分にとって得なのか。

誰一人本当のこと言ってないんじゃないか、と。

 

この手の映画からはメッセージもくそもない気がする。

ただただタランティーノ氏が作ったお話を楽しみたい、そんなあなたにおすすめの映画。

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[映画レビュー]『戦場のピアニスト』(2002) 生きようとする人間の本能が切に伝わってくる

ユダヤ人迫害の映画であれど、辛すぎる映画は苦手というあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:タイトルより興味そそられなかったが、いつの日か人に勧められたから
ジャンル:ドラマ、戦争
原題:THE PIANIST
泣ける度:(1/5)

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(C)2002 PR PRODUCTION/STUDIO BABELSBERG/HERITAGE FILM/RUNTEAM LIMITED


–あらすじ–
1940年、ドイツ占領下のポーランド。ユダヤ系ピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は家族と共にゲットーへ移住。やがてユダヤ人の収容所移送が始まり、家族の中で彼だけが収容所行きを免れた。食うや食わずの潜伏生活を送るある日、遂に1人のドイツ兵に見つかる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

想像に難くないストーリー展開で、ナチスのユダヤ人迫害のシーンは見ていて心が痛い。

実話ベースの映画であり、ロマン・ポランスキー監督自身が幼少期をゲットーで過ごしたという事実から、劇中描写のリアルさが増す。

 

実に残酷なシーンが多いのだが、見ていて悲しいというより、その光景にただただ圧倒される。

悲しいことは悲しいんだけど、それが度を超えすぎていて、涙さえ出てこない、そんな感じ。

 

実話ベースの話なだけに、ストーリー展開的に面白いかというと、そうでもない。いたってシンプルなストーリー。

ゆえに、映画的エンタメ性を欲するのであれば、あまり満足は得られないか。

 

ただ、終始飽きさせないことは確か。

スタートからエンドまでとにかく飽きさせない。

 

映画というより、スーパー上質な再現映像とも言えなくはない。

特にゲットーでのユダヤ人たちの生活ぶりがリアルすぎて言葉を失う。

 

迫害されるユダヤ人たちの行為一つ一つに対し、「そうだよな」と、いちいち頷いてしまう。

生きようとする人間の本能が、切に伝わってくる映画。

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[映画レビュー]『さよなら歌舞伎町』(2014) チープな日本映画と、深みのあるアジア映画の混在

今、他人の人生、ちょっと覗き見してみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:染谷将太、前田敦子主演ということなので、気になり。
ジャンル:ドラマ
泣ける度:(1.5/5)

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(C) 2014『さよなら歌舞伎町』製作委員会


–あらすじ–
一流ホテル勤めと周囲に偽りラブホテルの店長をしている徹(染谷将太)は、ミュージシャンを夢見る同居中の恋人・沙耶(前田敦子)との関係が倦怠(けんたい)期になりかけていた。歌舞伎町にあるラブホテルに出勤し多忙な1日が始まるが、ホテルでは家出少女(我妻三輪子)と来店した風俗スカウトマン(忍成修吾)、時効を間近に控え男(松重豊)と潜伏生活を送るホテルの清掃人(南果歩)など、年齢も職業もさまざまな男女の人生が交錯し……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

前田敦子氏が主演と思っていると、ちとガッカリする。

むしろ彼女は他の俳優の引き立て役に回ってしまっている。

 

ある意味非常に大人な映画で、前田敦子氏が出ているというだけで安易に観ると、ケガをする。

ポルノ映画ではないが、その要素は多めである。

 

5組の男女カップルが織りなすストーリー。でも実際強く記憶に残るのは、2組ぐらいか。

そのうちの一組が韓国人出稼ぎカップルで、もう一組が、時効を待ち、ひっそりと隠れて暮らすカップル(南果歩、松重豊)。

 

チープな日本映画と、深みのあるアジア映画が混在している感じの仕上がり。

 

アジアでも後世記憶に残る映画になるはずだったのに、興行収入を意識して目先の利益に目が眩んでしまった的な映画。

将来の一万円札より目の前に落ちている千円札を拾ってしまった的な。

 

主演は染谷将太、前田敦子であったが、デリヘル嬢を演じた韓国人女優イ・ウンウが事実上の主役であった。

いつもはひらりと光る染谷将太も脇役のように思えるぐらいに、女優イ・ウンウが輝いていた。

 

生きていくために必死な人間たちの姿を覗き見しているテイストで、ストーリー展開自体は実に巧妙。最後まで飽きさせず、十分楽しめる映画。

他人の人生、ちょっと覗き見してみたいというあなたにおすすめです。

 

期待せずに観てみると、意外と収穫ありの映画ではないか。

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