[映画レビュー]『ソロモンの偽証 前篇・事件』と『後篇・裁判』(2015) 裁判もの映画というより、人間成長もの映画

今、人間の、人間臭い部分を存分に味わいたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:宮部みゆき原作ものの映画化ということで、気になった。
ジャンル:サスペンス
泣ける度:(1.5/5)

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(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会


–前編・あらすじ–
クリスマスの朝、雪に覆われた中学校の校庭で柏木卓也という14歳の生徒が転落死してしまう。彼の死によって校内にただならぬ緊張感が漂う中、転落死の現場を目にしたという者からの告発状が放たれたことによってマスコミの報道もヒートアップ。さらに、何者かの手による殺人計画の存在がささやかれ、実際に犠牲者が続出してしまう。事件を食い止めようともせず、生徒たちをも守ろうとしない教師たちを見限り、一人の女子生徒が立ち上がる。彼女は学校内裁判を開廷し、真実を暴き出そうとするが……。

–前編・あらすじ–
被告人大出俊次(清水尋也)の出廷拒否により校内裁判の開廷が危ぶまれる中、神原和彦(板垣瑞生)は大出の出廷に全力を尽くす。同様に藤野涼子(藤野涼子)も浅井松子(富田望生)の死後、沈黙を続ける三宅樹理(石井杏奈)に証人として校内裁判に出廷するよう呼び掛ける。涼子は柏木卓也(望月歩)が亡くなった晩、卓也の自宅に公衆電話から4回の電話があったと知り……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

前編・後編合わせて一つの作品と考えるべき映画のため、二本で一つの映画としてレビューを書く。

 

いつものように、今作品も、原作は読まずに映画を鑑賞。

したがって、原作のこの部分が削られてて残念だったとかいう下りはこのレビューにはない。

 

原作の世界観を壊してほしくなければ、映画化されたものは観ないほうがいい。

では本題へ。

 

二本立ての映画はあまり好きではなく、疲れるのでなるべく一つの映画は一本二時間前後に収めてほしい派ではあるが、この大作に、四時間超必要だったのは、うなずける。

それほどまでにすばらしく、見応えある映画。

一つ惜しいのは、前編がプツリと突然終わってしまうところか。

 

前後編もの映画の場合、ある程度単体でストーリーが構成されることを望むが、この映画は突然プツリとくる。

映画館で鑑賞された方のあ然ぶりが想像できる。

 

ゆえに、DVDを前後編二枚同時にかりるなどして、一気に二本観るべき映画。

前編121分、後編146分と、長いので、ある程度覚悟して観ることにしましょう。

 

人気作家、宮部みゆき氏のサスペンス小説がもとになっている映画で、すごく込み入った仕掛けがあるストーリーを想定するも、それほど豪勢な仕掛けはない。

逆に、現実にありそうな素材で組み立てられたストーリーだけに、よりリアルさが増している。

 

事実を隠そうとする学校であったり、憶測から決めつけて報道するマスコミだったり

学校では生徒同士がお互い干渉し合わず、また、不良グループの一員であれど、本当の友達同士という訳でもない。

 

そんな、ありふれた日常の中、一人の生徒が校内で転落死する。

その、一人の少年の死を巡って、それぞれの思惑が交差する。

 

一人が動くと隣りに伝播する。またその一人が動くと、そのまた隣へ。

人の獲物にありつこうとハイエナのように寄ってくる者。一方で、欲望の渦に巻き込まれ、人生を台無しにする者。

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(C)2015「ソロモンの偽証」製作委員会

 

結局誰のための何の裁判だったのか。

各々が各々に答えを持って、散っていく。

 

算数ではなく国語、マークシートではなく記述式、的な、解釈に柔軟さを与えてくれるストーリー。

そして観終わった後、観る者それぞれに課題を与えてくれる。

 

人間の、人間臭い部分を存分に味わいたいあなたにおすすめの映画。

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[映画レビュー]『ソラニン』(2010) 押し付けられるチープな価値観が心地良い

今、宮崎あおいのピュアな歌声が聴きたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:原作コミック本が面白く、主演が宮崎あおいということで興味ありで。
ジャンル:青春、ドラマ
泣ける度:(3/5)

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(c)2010 浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会


–あらすじ–
OL2年目で会社を辞めた芽衣子(宮崎あおい)と、音楽の夢をあきらめられないフリーターの種田(高良健吾)は不透明な未来に確信が持てず、互いに寄り添いながら東京の片隅で暮らしていた。ある日、芽衣子の一言で仲間たちと「ソラニン」という曲を書き上げた種田は、芽衣子と一緒にその曲をレコード会社に持ち込むが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この手の人気コミックを映画化したものは、酷評を浴びることが多い。

この映画もしかり。

 

とくに、原作コミックに気持ちが入りすぎているコアファンには、その世界観を壊される実写化というものが、許せないのかもしれない。

 

私は基本的に、この手の漫画の実写映画を観るときは、原作の方のコミック本を読まないで、いきなり映画を観るタイプなのだが、今回は、原作コミック本が先行した。

たまたま美容室に置いてあったので、それを読んだのがきっかけで。

 

確かに、あの原作の世界観を二時間映画枠の中で表現することは難しい。

そして、本作においては、かなり忠実にコミック本のセリフを再現したり、一つ一つのシーンを再現したりして、原作の世界観を壊さないように努めていたように感じつつも、表現しきれていなかったことも否めない。

 

ゆえに、原作ファンの人は、この映画は観ない方が良いのかもしれない。

ただ、あの芽衣子と種田を、宮崎あおいと高良健吾が演じる、その姿を観たいという人には、ひとつ、楽しみのある映画かと思う。

 

原作コミック本では、数々の名言が登場する。そんな、名言のいくつかが、この映画の中でも忠実に再現されている。

そして、宮崎あおいがギターを弾き、歌を歌う。

 

私自身、ギター弾きではないので、そのあたりの感想についてはなんとも言えないが、少なくとも、宮崎あおいの歌声は、聞きごたえがあった。

 

アースミュージック&エコロジーのCMでしか聴いたことのない、棒読み調の宮崎あおいの歌声。

決して歌唱力があるとかそういうのではないけど、バンドを始めたばかりの、学生らしい、勢いで歌い上げる感じが十分に出ていたのではないかと思う。

 

Again, こういったアニメ原作ものの実写映画化で、原作を超える世界観を出せることはない。

そして、本作は、その原作コミック本をかなり忠実に再現しているので、ストーリー展開もほぼ同じと考えていい。

 

では、この映画を観る意味は?

宮崎あおいのかわゆさ全開の演技を観るのと、40過ぎのおっさんたちが、自分もそんな甘い考えしてたなあと、ノスタルジーに浸るため、ではなかろうか。

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(c)2010 浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会

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[映画レビュー]『オブリビオン』(2013) こころ揺さぶる近未来SFラブストーリー

今、SFとラブストーリー両方大好きなあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:賛否両論な映画で気になったから。
ジャンル:SF、アクション
原題:OBLIVION
泣ける度:(1.5/5)

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(C) 2013 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.


–あらすじ–
エイリアン“スカヴ”の侵略を食い止めたものの、その戦いによって地球が半壊してから60年。生き残った者たちがほかの惑星へと移住してしまった中、ジャック・ハーパー(トム・クルーズ)だけが地球に残って上空から偵察していた。パトロールに向かっていた彼は、誰一人として生存しているわけがないエリアで何者かの襲撃を受けてしまう。混乱するジャックの前に現れたのは、ビーチ(モーガン・フリーマン)という謎の男。彼との遭遇を機に、ジャックは地球、人類、そして自身の運命を担う冒険に出ることに。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

SFもの映画って女性はあんまり好きじゃないのだろうか?

近未来の乗り物に乗ったり、この世のものとは思えない化け物と戦ったり。

 

でもこの映画、単なる近未来SFもの映画ではない。

切ない、切ない、ラブストーリーの要素もあり。

 

トム・クルーズ映画といえば、たいてい美女しか出てこないのだが、今回も美女ぞろいで。

そんな、美男美女たちが、ビジュアルの美しさでも魅せてくれる。

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(C) 2013 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

 

映画の冒頭部分、観ていておそらく疑問がいくつか出てくるであろう。そしてそんな我々の疑問を無視するかのように、どんどん物語が進んでいく。

だが、次第に形が見えて来る。「ああ、そういうことか。。」と。

 

「この手の話、どっかで観たことあるよ」と、思うかもしれないし、それは否定しない。

ただ、私はのめり込んだ。最後の最後まで。どうなるかワクワクさせてくれるストーリー展開に。

 

その最後は切なく、観終わった後、しばらく余韻が残る。

無力感というか、脱力感というか。

 

正直、観終わった後、いろいろと疑問が残ることだろう。

しかし、映画の中に100%の答えを求めるのはナンセンス。

 

映画とは、余韻を楽しむものだから。

感じるままに感じ、自分の好きなように解釈して、心満たされる。

 

その振れ幅の大きい余韻で、こころ大きく揺さぶられたい。

そんな映画の醍醐味を味わいたいというあなたにおすすめの映画です。

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[映画レビュー]『キャロル』(2015) 女性は「飾り物」じゃない

今、新しい価値観に目覚めたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:賛否両論な映画で気になったから。
ジャンル:ドラマ
原題:CAROL
泣ける度:(1.5/5)

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(C) NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED


–あらすじ–
1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。彼女にクリスマスカードを送ったのを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

主演の二人、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラがそれぞれ2016年第86回アカデミー賞の主演女優賞と助演女優賞にそれぞれノミネートされていることからも注目されている作品。

また、私がよくゼロポイント評価として参考にしているYahoo映画サイトにて、その評価が賛否両論真っ二つに分かれているところからも、より興味をそそられて映画館へ。

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賛否両論。。わかる。。といった感じ。

この手のテイストの映画は賛否が分かれやすい。

 

つまり、観ていて何となくカッコイイ映画だけど、いまいち何が言いたいのかそのメッセージが伝わってこないというやつ。答えをくれないというやつ。

世の中には、非常に観やすい、深い理解力や感受性を必要としない、気持ちも楽に楽しめる作品がある一方で、感受性をフルに発揮して、全てを体で吸収して、自分なりに噛み砕いて味わって楽しむ映画がある。

 

この作品は後者の方。

映画ってバランスが大事で、時に気楽に観たり、時に全神経を集中させて観たり。

 

その意味で、今作は非常に味わい深く、また、人によって受け止め方の異なる映画と感じた。

映画評論家や映画ライターが押し付けてくる一方的な価値観に流されることなく、是非とも自分なりの感じ方をしてほしい。

 

「若いから、解決や説明を求める」

と、劇中でキャロルが言う。

 

この映画を観る我々にも同時に投げかけられているように聞こえた。

このブログでは、いつものように、私なりに感じたものを文章にして共有しているが、これもただ一人の映画ファンの感想ということで、あまり、影響を受けすぎないでほしい。

 

一言で表現すると、人も風景も、全てが非常に美しい映画。

女性向けの映画のように見えるが、男性こそ観るべき映画。

 

特に、女性を「飾り物」と勘違いしている輩には観てほしい。

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[映画レビュー]『X-ミッション』(2015) ストーリーはチープだが、アクションは一見の価値あり

今、とにかくスリリングなアクションを楽しみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:なんかスゴそうな映画だったから。CGなしと、豪語しているから。
ジャンル:アクション
原題:POINT BREAK
泣ける度:(1/5)

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(C) 2015 Warner Bros. Ent. (C) Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.


–あらすじ–
以前アスリートだったFBI捜査官ジョニー・ユタ(ルーク・ブレイシー)は、エクストリームスポーツのカリスマ、ボーディ(エドガー・ラミレス)が中心となっているアスリート犯罪集団への潜入捜査を開始する。彼らには、卓越した能力を使って、犯罪行為を繰り返している疑いが掛かっていた。しかし、ユタは彼らと危険な行動を共にするうち、ボーディに対し信頼と友情を抱くようになり……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

アクションは確かにスゴイ。というか、スゴイのと通り越してスゴイ。スゴすぎる。

でも、ストーリー自体はいたって普通。

 

この映画は、何を楽しみたいかの目的によって評価が分かれる映画。

映画というからには、心動かすようなストーリーがあって欲しいと思う私にとっては、物足りなさが残る映画。

 

CGを使用しない生身のアクションを前面に押し出して宣伝しているだけあって、そのアクション部分については、どこに出しても恥ずかしくないのであろう。

ただ、そんな人間離れしたアクションを集めただけの映像であれば、スタント集的なDVDでも観れば済む話。

そういえば、昔、深夜の民放で急な山の斜面をスキーで滑り降りる人の映像が流れていたのを思い出す。ああいう映像を、別途観るだけで十分な感じである。

 

CGを使用しないアクションがこの映画の売りなのだが、そのあたりの定義がよくわからん。

人が崖から落ちたりするシーンもCG使ってないということ?それならホントスゴイんだけど。

 

Again, 映画から発せられるメッセージがいまいち不明瞭。

自然保護を訴えてる? 格差社会を批判してる? それともスピリチュアル的ななにか?

それともそれとも、ドラゴンボール的な、オラが最強だ的なノリ?

 

映像はそれこそかなり楽しめたけど、ストーリーがかなりいまいち。

名作、ブラット・ピット主演の『セブン』(1995)をもじったような、香港の名作『インファナル・アフェア』(2002)をパクったような。

 

どうせパクるならオリジナルを上回って欲しいところなのだが、オリジナルの足元にも及ばす。

オリジナルを上回っていたのは、出演する俳優陣がイケてるということだけ。つまり、いい男、いい女揃いで。

(C) 2015 Warner Bros. Ent. (C) Alcon Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

 

ストーリーがメチャクチャつまらないということではないが、いたって普通の展開で、かつ、メッセージが不明瞭というだけ。

あまり深く考えないで観てもらいたいのか、じっくり考えて観て欲しいのかの製作者の意図もブレている。

 

製作者自身の目的は達したが、観る側の気持ちが完全に無視されてる感じで。

俺たちスゴイの作ったぜ、的な、自己満足のための映画。

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[映画レビュー]『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』(2014) 「ありえないだろ!」と「いや、ありうるかも」の中間を走る絶妙な面白さ

今、染谷将太で一発笑いたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:長澤まさみ見たさに映画館に。
ジャンル:青春、コメディ、ドラマ
泣ける度:(2/5)

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(C)2014「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」製作委員会


–あらすじ–
大学受験に失敗し高校卒業後の進路も決まっていない勇気(染谷将太)は、軽い気持ちで1年間の林業研修プログラムに参加することに。向かった先は、携帯電話が圏外になるほどの山奥のド田舎。粗野な先輩ヨキ(伊藤英明)のしごき、虫やヘビの出現、過酷な林業の現場に耐え切れず、逃げようとする勇気だったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

以前、映画館で観ておもしろかったので、この度たまたまスカパーで放送していたのを発見し、再度観た。

ということで、今回は二度目の鑑賞。それでも一度目と同じぐらい楽しめた。ゆえに、この映画をおすすめしないわけにはいかないと思い、レビューを書く。

 

当初、染谷将太氏をあまり存じ上げていなく、長澤まさみ目的で映画館に向かったのだが、今観ると、素直に「染谷将太、最高!!」と雄叫びを上げたくなる。

染谷将太氏は、心に影のある、ひと癖ある役がピッタリの俳優だと思っていたが、こういうイマドキの若者役もガッツリハマっている。

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(C)2014「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」製作委員会

 

普通に笑いながら観れる一方で、ところどころ学びも多い映画。

ちょっと下ネタ的な表現もあるが、それは笑い飛ばせるぐらいのレベルで、下ネタ嫌いの方でもあまり不快には感じないだろう。

 

一人の若者男性の成長ものストーリーとして、完全に映画の中の世界に浸ってしまい、ともに人間的成長を楽しんでしまうため、あっという間の2時間と感じる。

リアルさに欠け過ぎる矢口史靖監督映画はあまり好きではないのだが、この映画に限っては大好きな映画の一つとなった。

 

笑いの中にもホロっと泣けてくる、すごくあと味の良い映画。

脇を固める伊藤英明、優香、そしてもちろん長澤まさみにも大満足である。

 

今宵は染谷将太で一発笑いたいというあなたに、是非どうぞとおすすめしたい映画です。

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[映画レビュー]『アウトレイジ』(2010)&『アウトレイジ ビヨンド』(2012) 表の世界も裏の世界も、やってることは大して変わらない

今、壮大なる下克上劇を楽しみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:バイオレンスムービー観たい気分だったから。
ジャンル:ドラマ
泣ける度:涙は出ないけど、ある意味泣けてくるかも。

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(c)2010「アウトレイジ」製作委員会


–『アウトレイジ』(2010) あらすじ–
関東一円を取り仕切る巨大暴力団組織・山王会組長の関内(北村総一朗)が若頭の加藤(三浦友和)に、直参である池元組の組長・池元(國村隼)のことで苦言を呈す。そして、加藤から直系ではない村瀬組を締め付けるよう命令された池元は、配下である大友組の組長・大友(ビートたけし)にその厄介な仕事を任せる。こうして、ヤクザ界の生き残りを賭けた壮絶な権力闘争が幕を開けた。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

北野武監督・脚本作品。相変わらずのバイオレンスぶり。

で、このバイオレンスムービーを面白いと思えるか。

 

実に面白い。

テンポが良く、2時間飽きさせない。

 

男性向きの映画であることは確かだが、成り上がり的なストーリーが好きな女性であれば、たとえ女性でも、このヤクザ映画を面白いと思えるかも。

ただ、残酷なシーンも多いので、そのあたりも許容できればの話だが。

 

劇中、三浦友和が北村総一朗に頭をはたかれるシーンが度々ある。そんな三浦友和、今まで見たことないので、そんなちょっとしたシーンでさえ、衝撃的で。

加瀬亮に関して言えば、これほどまでにこっちの世界の人の役が合うとは思わなかった。キャスティングの妙と言うべきか。

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(c)2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

 

北野映画だけに、最後のシーンはある程度想定ができてしまうものの、嫌いじゃない終わり方。

「もうこれで終わりだよね」と、上映時間を確認してしまうほど、最後まで何が起こるかわからない、ソワソワさせてくれる展開。

 

金ってこうやって稼ぐんだ、と、変に感心してしまう。

黒い金の稼ぎ方ではあるが、考え方だけは吸収したいかも。

 

会長、若頭、直参(じきさん)、そしてマル暴という関係性を把握していると、つまりはヤクザ組織のありかたや、彼らに対する警察組織のありかたを理解していると、個々の登場人物の関係性がわかって、よりこの映画を楽しめる。

しかしながら、あまりこのあたり凝って調べる必要もないので、以下に簡単に人間関係を書いてく。

 

会長(北村総一朗)がトップ。若頭の加藤(三浦友和)がナンバー2。直参っていうのが、組織のトップから直接「盃」を受けた者ということで、この映画では池元(國村隼)にあたる。で、大友(ビートたけし)が、その池元の下の組織というわけです。

また、マル暴に刑事の片岡(小日向文世)。ちなみに「マル暴」とは、暴力団対策を担当する警察内の組織や刑事のこと。

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(c)2012 「アウトレイジ ビヨンド」製作委員会

 

これだけ関係性を押さえていれば、より深く、この映画を楽しめるでしょう。

バイオレンスムービーでありながらも、どこか、もの哀しげな映画を観たいというあなたにオススメの映画です。

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[映画レビュー]『オデッセイ』(2015) 見ていて嬉しくなるほどのサバイバル力

今、知的好奇心を刺激されたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:火星を映画館で3Dで観たかったから。
ジャンル:SF、アドベンチャー
原題:THE MARTIAN
泣ける度:(1/5)

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(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved


–あらすじ–
火星での有人探査中に嵐に巻き込まれた宇宙飛行士のマーク・ワトニー(マット・デイモン)。乗組員はワトニーが死亡したと思い、火星を去るが、彼は生きていた。空気も水も通信手段もなく、わずかな食料しかない危機的状況で、ワトニーは生き延びようとする。一方、NASAは世界中から科学者を結集し救出を企て、仲間たちもまた大胆な救出ミッションを敢行しようとしていた。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

トム・ハンクス主演の『キャスト・アウェイ』(2000)と『アポロ13』(1995)を足して二で割ったような作品。

『キャスト・アウェイ』の孤独感、サバイバル感、そして、『アポロ13』の緊迫感、人間の底力感の両方を兼ね備えた作品。

 

これらいい映画のいいとこ取りをした感じで、さらには3Dで映画館の大スクリーンで火星を楽しめるとなれば、映画館に足を運ばない理由はない。

この映画を観ていると、「火星って、意外と人間住めそうじゃん」とも思えてくる。

 

火星に一人残された男、宇宙飛行士マーク・ワトニー(マット・デイモン)が、そんな一人残された悲劇を悲しむ暇もなく、どうやったら地球に帰れるのかと常に前向きに考える姿勢に、観ているこちらも励まされる。

この映画はフィクションであり、実話をベースに映画化した『アポロ13』とは、緊迫感の深みが違うといえばそうかもしれない。しかし、フィクション映画だけに、創造性を最大限発揮した、こういうことならもしかしたらできるんじゃないかといった、人間の持つ力の可能性を、見応え感たっぷりに披露してくれる。

 

科学の難しい話はわからなくても、安心して楽しめる映画。

むしろ、こういった人間の可能性を広げる科学なり、その他学問について、勉強する気にさえさせてくれる。

 

マッチョ俳優ファン必見? 筋肉ムキムキのマット・デイモンが登場。

当然のごとく、食料の限られた状況下ではそのムキムキも次第に無くなっていく。

一本の映画の中で、筋肉をつける、そしてとる。『キャスト・アウェイ』でのトム・ハンクスの変貌ぶりにも驚いたが、今作のマット・デイモンのそのハリウッド俳優魂にも感心した。

 

いわゆる「みんないい人」的な映画なので、映画の中に強い葛藤を求める人には物足りない感もあるかもしれない。

また、アメリカが世界の中心的な発想がいやな人にも向かないかも。

そして、ストーリー展開的にも、正直そこまで深い話とも思わない。

 

ただ、この宇宙空間の映像、そして火星の映像は一見の価値あり。

是非、映画館で、3Dでお楽しみいただければ。

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[映画レビュー]『さらば あぶない刑事』(2015) 「あぶ刑事」オールスター全員集合

「あぶない刑事」ファンのあなただけにおすすめの映画

観て良かった度:(2/5)
観た理由:これまでの全ドラマシリーズと全映画を観るレベルの「あぶ刑事」ファン。
ジャンル:アクション
泣ける度:(1/5)

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(C) 2016「さらば あぶない刑事」製作委員会


–あらすじ–
長きにわたり横浜の平和を守ってきた刑事コンビ、タカ(舘ひろし)とユージ(柴田恭兵)。定年を5日後に控えながらも、彼らは宿敵・銀星会の残党を追い、覚せい剤や拳銃が扱われるブラックマーケットの襲撃などを行っていた。そんな中、世界各国の闇市場や裏社会での縄張りを拡大している中南米マフィアが彼らの前に立ちはだかる。彼らの日本進出を阻止しようとするタカとユージだが、その戦いに横浜中の犯罪組織も絡んでいく。危険地帯と化した横浜で、二人は一世一代の勝負に挑むが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

「あぶ刑事」ファン以外の方は、おそらく全く楽しめない映画。

むしろ「あぶ刑事」ファンの方でさえ、やや違和感を感じる事であろう。無条件で彼らを受け入れる懐がなければ。

 

「あぶない刑事」製作者側としては、自身何も変わっていないのだろうが、時代が変わりすぎたのかもしれない。

ここ10年、20年で、アメリカテレビドラマでさえ日本の茶の間で観れるようになった。日本の刑事ものテレビドラマの質、アクションの質も確実に上がっている。そんな中、いい意味でもそうじゃない意味でも「そのまんまのあぶ刑事」を見せてくる勇気には感動すら覚える。

 

「あぶ刑事」は、もともとテレビドラマ版の質はある程度高かったが、映画版はそうでもなかった。これはあぶ刑事ファンであれば誰もが感じていること。

そして今作、今までで一番「ゆるい」仕上がりになっている。

 

とにかく自分たちがやりたい事をやる。バイクに乗りたい。走るシーンを入れたい。ただ、ストーリー上、その必然性は全くない。

シリアスとお笑いの絶妙なミックスを期待するも、うまくミックスされておらず、個別の「出し物」が、単に順次披露されているだけ。

 

私は、一人のあぶ刑事ファンとして、本当に今回で終わりにしてくれてよかったと思っている。これ以上傷口を広げる前に。

ファンであるからこそ、いい思い出のまましまっておきたいという想いもあるので。

 

いろんな意味で、古き良き時代を振り返りたいというあなたには興味深い作品かもしれない。

今作は、懐の深い「あぶない刑事」ファンのあなただけにおすすめの映画ということで。

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[映画レビュー]『ザ・ウォーク』(2015) 一歩を踏み出せない輩たちへのメッセージ

今、何かデカいことを成し遂げたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(5/5)
観た理由:予告編がつまらなそうだったが、気になったので自分で確かめたかった。
ジャンル:ドラマ、サスペンス
原題:THE WALK
泣ける度:(1/5)

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(C)2015 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.


–あらすじ–
1974年。フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、誰も考えついたことのない挑戦をすることに。それはニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくというものだった。そして、ついに決行の日を迎えるフィリップ。地上110階の高さに浮いているワイヤーを、一歩、また一歩と進んでいく彼だったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

二時間ずっと綱渡ってて、落ちそうになったりしながら最後には無事渡りきってお話は終わりかな、と、超期待低で映画館へ。

 

すみません。。  

私が間違っていました。。

 

たぶん映画のタイトルが悪いのかも、と、人のせいに。

タイトルが『ザ・ウォーク』じゃ、面白み伝わってこないでしょ。

 

でも、それが作戦だったのかもしれないが。

観てみたらこんなに面白いんだよ、という感じで。

 

スーパー、大満足です。

気がついたら手と足に汗を握ってた。

 

もちろん綱渡った人が語ってるストーリーなんだから本人は生きてるに決まってるし、落ちないに決まってる。でも、それでも汗が出る。

話のテンポもすこぶるいい。サクサク観れる感じで、退屈さが全くない。

 

ヒューマンドラマ要素あり、サスペンス要素あり、でもコアにあるのは「冒険要素」な気がした。

アドベンチャーというか、ベンチャーというか。

 

涙が出る感動とはまた違った形で、大いに感動できる映画。

あなたも歴史的イベントの「共犯者」気分を味わえます。

 

映画館で3Dで観たんですが、やっぱりこの手の映画は3Dがおすすめです。

再びあのワールドトレードセンターを3Dで。

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