[映画レビュー]『杉原千畝 スギハラチウネ』(2015) 世界を知り、日本をより良い国に

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観て良かった度:(4/5)
観た理由:歴史好きだから。杉原千畝氏に関心があるから。
ジャンル:ドラマ

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会


–あらすじ–
1935年、満洲国外交部勤務の杉原千畝(唐沢寿明)は高い語学力と情報網を武器に、ソ連との北満鉄道譲渡交渉を成立させた。ところがその後彼を警戒するソ連から入国を拒否され、念願の在モスクワ日本大使館への赴任を断念することになった杉原は、リトアニア・カウナスの日本領事館への勤務を命じられる。同地で情報を収集し激動のヨーロッパ情勢を日本に発信し続けていた中、第2次世界大戦が勃発し……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

実話に基づいたストーリーということで、お勉強がてらに観る。

結果、感動はあったけど、泣くとかいうそういう類のものではなかった。

 

なんだろう。たぶん、杉原千畝氏の「苦悩」の部分の描写が意外とあっさりとしていたからか。

あと、調査能力が優れていたと言われる杉原千畝氏のスゴさとかも結構あっさりと描かれていて、スゴイ感があまり伝わってこなかったからか。

 

杉原千畝氏演じる唐沢寿明さんの英語のセリフには感心。ごく一部のセリフが英語になっているのかと思いきや、結構な量のセリフが英語であり、その英語も聞いていて、聞き苦しくない綺麗な日本人英語だったから。

すごい役者魂。ハリウッド進出も夢ではないか。

 

映画『ライジング・サン』(1993)に出てくるアメリカ人俳優の、子供の学芸会レベルの日本語のセリフとは大違いだ。(ご興味とお時間のある人は是非、こちらの映画もお楽しみを!!)

 

また、板尾創路氏が出てた。ちょっとお笑いのイメージ強すぎて。。なぜ板尾?、と。

しかも、やや重要なポジション。杉原千畝氏の嫁(小雪)の兄貴役という。

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

 

自分の家族を危険にさらしてまで、縁もゆかりもない外国人を助けることができるか?

杉原千畝役の唐沢寿明氏より、脇役の濱田岳氏のほうが、苦悩に満ちた感じが出ていたか。

守るべき家族がいる以上、下手なことをして仕事を失えない。でも、自分の信条に沿って行動したい気持ちもある。そんな葛藤の描写を期待していたのだが、濱田岳氏の苦悩のワンシーンが最高沸点という感じだった。

 

この杉原千畝氏の偉業、彼一人の力で成し遂げたと思われがちだが、そこには杉原千畝氏を慕う者たちの、多くの支えもあったようだ。

杉原千畝氏について、これまで名前と彼の功績の概要だけしか知らなかったが、少し深く彼を知ることができた。

 

そして、この手の映画を観ていつも思うことだが、戦争は酷い、と。

映画をより楽しむための予備知識

この映画、歴史の、日本史の基本的な知識がないと、ちょっと観るのに厳しい。

高校時代、日本史をある程度しっかり学んできたという人なら問題ないが、そうでなければよくわからない状態で映画が終わってしまう。なんだかわからないけど杉原千畝さんはスゴイ人なんだなあ、ぐらいで終わってしまう。

せっかくなので、まだご覧になっていない方がこの映画をより深く楽しむために、ここで少しだけ重要な歴史的出来事や重要単語の意味に触れておきます。

なるべく噛み砕いて説明書いてますが、それでもちょっとわかりにくいかも。まあでも、少しでも参考になれば幸いです。

 

“PERSONA NON GRATA”(「ペルソナ・ノン・グラータ」と読む)

「好ましからざる人物」を意味する、外交用語の一つ。

千畝が「ペルソナ・ノン・グラータ」と呼ばれるシーンが何度かある。でも特に説明がないので「なんの暗号?」って思うかも。

できるやつほど相手にとっては不気味な存在と感じられていたようで、相手国からすると、杉原千畝氏は「好ましからざる人物」であったようです。

 

北満州鉄道譲渡交渉

杉原千畝氏が当時担当していた、ソ連から満州鉄道を譲渡してもらうための交渉。杉原千畝氏の語学力と調査能力が発揮された交渉。

劇中、ソ連側が交渉成立前に鉄道を盗み出そうとするシーンがある。ただし、この譲渡交渉自体にはこの映画では深くは触れられていない。

 

満州国

1932年から1945年の間、満洲(現在の中国東北部)に存在した日本の拠点。

映画を楽しむには、それぐらいの認識でよいかと。

 

関東軍

日本が中国から奪った遼東半島 (関東州)におかれた守備隊。関東州に置かれたから関東軍であって、日本の関東地方とは関係がない。名称は似てるけど。

劇中、塚本高史さんが、嫌な感じを醸し出し、演じている。

 

ハルピン学院

満州国ハルビン市にあった学校。

当初、杉原千畝氏は早稲田大学に入学したが、学費が足りず、ハルピン学院に変更したという説明が映画中にあり。

 

独ソ不可侵条約

1939年8月23日にドイツとソ連の間に締結された不可侵条約。ドイツは西側のイギリス・フランスの存在が気になる、ソ連は東側の日本の存在が気になる。だからドイツとソ連の間では揉め事はやめましょうという約束。最終的に、ソ連がこの約束を破ることに。

 

ゲシュタポ

第2次世界大戦下におけるドイツ警察の政治警察部門。

杉原千畝氏が、度々ゲシュタポに命を狙われる。

 

日本へのビザ発給の条件

これを満たさないと日本はビザを発給できないと、映画の中で説明されている。

  1. 十分な渡航費と滞在費を持っているか
  2. 最終目的地は決まっているか(入国できることになっているか)

映画を見ていればわかることだが、一応ここでもまとめておきます。

国を追われたユダヤ人たちは、もちろんそんなお金を持っているわけもなく。そんな、ビザ発給の条件を満たさないユダヤ人たちに、杉原千畝氏はビザを発行することを決める。

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

 

世界を知り、日本をより良い国に

クロスロード』や『海難1890』のレビューでも書いたが、日本人が知らない世界の中の日本があまりにも多すぎることに驚く。

今後、どんどん世界に出て行く日本人としては、こういった映画等通じて、積極的に自ら日本について学んでいく姿勢が求められているのかもしれない。

 

海外旅行をして、ちょっと現地の博物館に入るだけでも、日本ではそれほど有名でない人が現地で取り上げられていたりして、おもしろい。

また、小さなことだが、世界では、日本人は挨拶を返さない人とも思われている。言葉の問題もあるかもしれないが、実際はそれだけが原因ではないようだ。私も以前職場で外国人上司から、「日本人はなぜ挨拶を返さないんだ」と言われたことがある。

小さなことでも少しずつ世界を知ることで、日本人としてどうしていくことがより日本を良くして行くことにつながるかを、考えることができる。

 

「世界を知り、日本をより良い国に」

これは劇中に出てくるセリフであるが、島国である我々日本人はもっと外に出て、世界を知るべきと感じた。そしてそれが日本の将来のためにつながっていくと。

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

 

最後にひとこと感想

全てを失うことになっても自分の信念を貫き通せるか。

杉原千畝氏自身、実際は相当にタフな決断だったかと思う。

 

杉原千畝氏の、日本国政府による公式の名誉回復が行われたのは、2000年10月10日。死後14年後である。

日本の、死後に人を賞賛する文化はなんとかならないかと、いつも感じる。

 

すべての伝記もの映画に言えることだが、こういった映画は単なるきっかけに過ぎず、この手の映画を観たことを契機に、我々は独自により深く学んでいくべきであろう。

したがって、映画の内容が、史実に忠実に沿っているか否かは、それほど大きな問題ではないかと。

 

「映画は脚色があるもの」ということを前提に観るということで。

 

予告編

 

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