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[映画レビュー]『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(2016) とにかくやっちゃえばいいんだよ

今、一歩目を踏み出せないあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:実在した人物をモデルにした映画に基本的に関心があるから
ジャンル:ドラマ、コメディ
原題:FLORENCE FOSTER JENKINS
もう一度観たい度:(1.5/5)
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(C) 2016 Pathe Productions Limited. All Rights Reserved

–あらすじ–
ニューヨーク社交界のトップとして華やかな毎日を送る一方、ソプラノ歌手を目指して活動しているフローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)。しかし、その歌唱力は音痴というしかないレベルであった。夫シンクレア(ヒュー・グラント)は、マスコミを買収したり、理解者だけを集めた小規模なリサイタルを開いたりと、病を抱えながらも夢を追う彼女を支えていた。そんな中、フローレンスがカーネギーホールで歌いたいと言い始め……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

そこそこの映画かな、と、それほど期待もせず映画館へ。

結果、そこそこの映画だった。

 

ただ、いつもこの手の映画を観て思うことは、へーっ、こんな人がいたんだ、ということ。

実在の人をモデルにした映画って、かなり脚色してない限り、それほど面白いものには仕上がらないのはわかって観ている。

だから、ある種の見聞を広げるという意味で観たりする。

 

本作の主演がメリル・ストリープ、ヒュー・グラント、という、個人的に好きな2人。

これが無名の俳優2人が演じてたら、多分話題にすらならなかったかもしれない。

 

コメディー映画のジャンルに属するが、そこまで爆笑するシーンもなく、時折、アメリカ映画特有のジョーク的な、そんなものが放り込まれている程度。

好きな人は好き、そうでない人はそうでない、そんな映画。

 

個人的には観てよかったと思った映画だが、映画館に行くほどではないかなとも思った。

ただ、カーネギーホールを映画館の大スクリーンで味わいたいのであれば、劇場へ行くべきかも。

 

可もなく不可もなく。

ただ1つ、「やっちゃえばいいんだよ」という勇気はもらえたかな。

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[映画レビュー]『スポットライト 世紀のスクープ』(2015) それは、自分だったかもしれない

今、自分にスポットライトが当たっていないと感じるあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:アカデミー賞作品賞、脚本賞受賞作品はとりあえず押さえておきたいところなので
ジャンル:ドラマ
原題:SPOTLIGHT
泣ける度:泣けるとか泣けないとかいう映画ではない

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(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC All Rights Reserved.


–あらすじ–
2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

アカデミー賞作品賞を受賞した映画は、興行的にはそれほどヒットしないと言われている。それは、作品自体が玄人好みであり、決して一般大衆受けする仕上がりではないから。

この『スポットライト』もしかり。正直、大衆受けするとはあまり思えない。

 

そもそも日本では、宗教に対する理解に深い人間がそれほど多くないせいか、カトリック教会の枢機卿(すうききょう)だの、神父だの言われても、誰がどれぐらい偉くてどれぐらいその世界で力を持っているのか、ほとんどの人がよくわかっていない。

ゆえに、この手の宗教の闇の部分を描いた作品は、我々日本人には容易に受け入れ難い。

 

それでもこの映画『スポットライト』には、大きな社会的意義を感じる。宗教のことはあまりよくわからない、子どもの頃教会に通った経験がない、という我々日本人にとっても一見の価値はある映画とも感じる。

映画という媒体を通じて、他国の文化や歴史に興味を持っていくのは、ひとつ、映画を観ることの醍醐味でもある。

 

神父という絶対的存在にNoとは言えない環境。

そこに、親がいなかったりと、絶対的立場の弱い子どもたちがいる。

 

絶対的力を持つ神父たちの一部が犯す過ち。

その過ちが巨大な力によって組織ぐるみで隠蔽される現状。

 

そして、その強大な力に対し、信念を持ってぶつかっていく記者たち。

 

徹底的に事実を分析し、データの規則性を見出す。

まさにビックデータ解析。しかもそれをほぼ手作業で、アナログ的にやり遂げる。

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(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC All Rights Reserved.

 

他のノンフィクション映画同様、この映画にも、実話をベースとした映画のジレンマがある。

細かく描きすぎると登場人物も多くなりわかりにくくなる。一方で、シンプルに描くと、薄っぺらな推理映画になる。

 

Again, カトリックの背景知識や教会通いの経験がない大多数の日本人には、正直あまり感情移入できない作品。

しかしながら、信念を持って、やるべきことをやり遂げるものたちの姿には、心打たれるものを感じるはず。

 

最近仕事に打ち込めてない、そんな人には、信念を持って仕事に取り組む記者たちの姿が刺激になるのでは。

華やかさはないまでも、何度でも観たくなる、味わい深い映画。

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[映画レビュー]『ちはやふる -下の句-』(2016) 一人でなんでもできると思ってた

今、ベタな友情に飢えているあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:『上の句』が最高に面白かったから
ジャンル:青春、ドラマ
泣ける度:(3.5/5)

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(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社


–あらすじ–
高校で再会した幼なじみの太一(野村周平)と一緒に競技かるた部を作った千早(広瀬すず)は、創部1年にして東京都大会優勝を果たす。自分をかるたに導いてくれた新(真剣佑)に優勝報告をした際、新の衝撃的な告白に動揺する千早だったが、全国大会のために仲間たちと練習に打ちこむ。そんな折、千早は同い年で日本一となった若宮詩暢(松岡茉優)のことを知り……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

男子高校生たちの、男同士で連れ立って、少し恥ずかしそうに映画鑑賞する姿がいい感じで。

男同士で映画館に行くなんてのは、この高校時代が最後になるんじゃないかな。

 

ひと月前に上映された『上の句』の続編ということで、『下の句』は当然のことながら、映画館に見に行ってまいりました。

一言で表すと、「動」の『上の句』、「静」の『下の句』という感じで。

 

前作の『上の句』では、かるた部のメンバー一人一人にスポットを当て、映画一本二時間という限られた時間のなかで、うまい具合にメンバーそれぞれの持ち味を紹介していた。

また、『上の句』では、お笑い要素も多く、見ていて単純に楽しい、笑っちゃうといった内容で、その上に感動もあり、幅広い映画ファンに受け入れられやすい展開だった。

 

一方今回の『下の句』では、ほぼ千早(広瀬すず)一人にスポットを当て、より深く、メッセージ性の強い仕上がりになっている。

コメディ要素も前作『上の句』よりは少なく、ややスロー気味な展開で、丁寧に、『ちはやふる』として伝えたいメッセージを送り出している。

 

そういった点で、『上の句』の時のような怒涛の展開を期待した人には今回の『下の句』は少し期待外れと感じるかもしれない。しかし、『下の句』の方が、より映画の持つ良さ、余韻を味わわせる良さがあり、『上の句』『下の句』両方合わせて、一つの完成作品としてのバランスを取っている。

相変わらずの臭いセリフや、こっぱずかしくなるような仕草はあるものの、友情っていいなと思わせてくれる、爽やか青春映画である。

 

『上の句』同様、かるたが散り舞うシーンはカッコよく、アクション映画的要素も健在。

続編製作も決定したようで、さらに進化した瑞沢高校競技かるた部が、今から楽しみである。

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[映画レビュー]『レヴェナント:蘇えりし者』(2015) こいつに復讐するまでは絶対に死ねねー

今、アカデミー賞主演男優賞のスゴさを感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:ディカプリオがアカデミー賞主演男優賞をとったという事で、話題に乗った。
ジャンル:アクション、ドラマ、アドベンチャー
原題:THE REVENANT
泣ける度:レベル感の違う悲しさ。涙は出ないが泣けてくる人生。

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(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.


–あらすじ–
アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

レオナルド・ディカプリオ主演映画は、これまでもハズレが少ないイメージがあり、観て後悔はしないだろう映画ぐらいでいつも映画館に足を運んでいる。

そして今回の『レヴェナント:蘇えりし者』。これまでのディカプリオ主演作のような派手さはないが、それでもメッセージ性の強い、骨太な映画と感じた。

 

彼は、この映画でアカデミー賞主演男優賞を受賞したが、その理由がわかりすぎるほどわかる映画であり、彼の、映画俳優としての格の違いを、これでもかというほどに見せつけてくれた。

同列に、同時期に、同価格にて上映されている日本映画のポスターたちが、申し訳なさそうに、「こっちはなんちゃって映画だからねー」と額に汗をかきながら言い訳しているように見えた。

 

邦画には邦画にしかできない役割があると思っているので、別段邦画を批判しているわけではないが、映画業界もそろそろ作品によって価格に違いをつけることをはじめても良いのかもしれない。

そろそろ本題へ。

 

ストーリー展開については、正直に言って、それほど意外性はない。

予告編から感じられるものがそのまま展開されているだけである。

だから、劇的な、大どんでん返し的な、エンタメ性MAXな映画を期待している人には好まれない映画。

 

ではこの映画の見どころは何?

映画俳優レオナルド・ディカプリオの演技を観に行く、それに尽きると思う。

 

予告編でもチラッと見せてくれるが、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマのグリズリーに襲われる。まずこのシーンが超リアルな感じで。あの怪力クマの前では人間は無力であることがわかる。

その後、瀕死の重傷を負ったグラスは、なんとか生き抜こうと這いつくばるが、その体力ふり絞ってる感が、「うわーっ、ディカプリオ魅せるな」と言う具合で。

 

この映画、実話をベースとした話しであるため、少なくともこの状況に近い経験をした人が実際にいたんだと思うと、よく生きてたなと、ただただ感心させられる。

生きることへの強い執念があり、それは、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)への復讐心からくるのであるが、「こいつに復讐するまでは絶対に死ねねー」という、ある種の「絶対感」が凄まじく伝わってくる。

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(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 

ものすごく平たく言うと、とある男がとある男に復讐する話、それだけなのだが、それが凄まじい生命力とともに描かれている、そんな映画。

何事も、「絶対にやってやる」レベルの高くない人は、パワー注入のためにこの『レヴェナント:蘇えりし者』を鑑賞されることをおすすめする。

 

また、人種差別問題についても、ゆっくり、そして深く、切り込んでいる。

静かで長い映画だが、じっくり、ゆっくり、深いメッセージを感じることのできる、映画通好みな映画。

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[映画レビュー]『ルーム』(2015) 想定内のストーリーから想定外の衝撃

今、未開拓の感情を突いてほしいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:監禁地獄から脱出するというシンプルなストーリーをどう深く描くのだろうと興味あった。
ジャンル:サスペンス、ドラマ
原題:ROOM
泣ける度:涙は出ないけど泣けてくる

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(C) ElementPictures / RoomProductionsInc / ChannelFourTelevisionCorporation2015


–あらすじ–
施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

観る前に抱いたこの映画へのイメージ、それは、

「長らく監禁されていた母と息子がついに脱出する。外の世界って素晴らしい。」以上。

 

これ面白いか? と。

 

実際にあった事件から着想を得て書かれた小説がもとになった映画とのことで、その意味ではある程度、感動するかもしれないが。

2016年アカデミー賞作品賞のノミネート作品というだけで、それがイコールで満足させてくれる映画とも限らないし。

 

そんな、ややハードルを上げた状態でこの映画を鑑賞。

ストーリー展開としては、ほぼ想定通り。特別なことは何もない。ただ、想定内のストーリー展開から、想定外の衝撃をもらった感じ。

 

映画の原作である小説の元となった話はあるようで。この手の誘拐・長期監禁事件は世界でいくつか報告されていて、世界ビックリシリーズ的な番組を通じて日本人の我々もどこかで聞いたことがある話。

ただ、この映画のストーリー自体は小説がベースとなったフィクションのとのこと。ということで、ダイレクトに実話ベースではないらしい。

 

閉じ込められた納屋から脱出するまでの展開には手に汗握る。

そして、「部屋」からの脱出自体が事の解決ではないことを、この映画は教えてくれる。

 

ストーリー前半部分の監禁生活のひどさもある意味見どころだが、むしろより注目すべきは映画後半に描かれる脱出後の生活。

自由を得たはずなのに自由じゃない、幸せになったはずなのに幸せじゃない。

 

ただ単に、誘拐・監禁犯罪のひどさを語る以上のメッセージあり。

心的にもそこまで重くなく、無理に泣かせる系映画でもなく、観るものの心にそれぞれのメッセージを届けてくれる、上質な映画。

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[映画レビュー]『あやしい彼女』(2016) 安易な破茶滅茶コメディにしなかったところが成功の要因か

今、良いお母さん、そして、良いおばあちゃんになりたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:多部未華子、要潤と、渋いキャスティングだから。
ジャンル:コメディ、ドラマ、ファンタジー
泣ける度:(4/5)

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(C) 2016「あやカノ」製作委員会 (C) 2014 CJ E&M CORPORATION


–あらすじ–
女手一つで娘を育て上げた73歳の瀬山カツ(倍賞美津子)は頑固でおせっかいな性格のため、周りからは敬遠されがち。ある日、ふと入った写真館で写真を撮り店を出ると、20歳のときの若々しい姿のカツ(多部未華子)になっていた。カツはヘアスタイルやファッションを一新、名前も節子にし、人生を取り戻そうと決意。その後、のど自慢大会で昭和歌謡を歌ったことから……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

とにかくキャスティングが渋い。多部未華子と要潤。

それだけでまず食いついた。

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(C) 2016「あやカノ」製作委員会 (C) 2014 CJ E&M CORPORATION

 

で、実際映画を観てみると、志賀廣太郎、小林聡美と、脇役がいい味出してた。

脇が完璧だから、主演が引き立つ感じで。

 

韓国映画がオリジナルらしいけど、それは見てない。から、比較はできない。

海外映画の場合、ノスタルジーの部分はどのように表現されているのか、そのあたりは興味深いところ。韓国映画のノスタルジー表現は、外国人である日本人に通ずるものがあるのか、など。

 

本映画、歌もの映画典型の話のまとめ方で、いたってシンプルなストーリー展開だが、発せられるメッセージが深いせいか、観ていて次第に惹きつけられる。

劇場では、泣いている人もちらほら。

 

また、爆笑するほどの面白さはないが、多部未華子のブレない演技に心躍らされる。

話の内容から考えても、多部未華子のキャスティングは、あらためて納得感あり。

 

前半なかなか多部未華子が出てこないから心配したが、そのやや長すぎると感じる前フリが、映画後半に効いてくる。

安易な破茶滅茶コメディにしなかったところが成功の要因か。

 

この手のファンタジー系映画って、予告編だけ観ると、なんだか安っぽい印象しか残らないことが多い。だが、実際本編をガッツリ観てみると、そこから発せられるメッセージの深さと、安っぽい予告編とのギャップに、いい意味で驚かされる。

正直、観て良かったと思える映画。

 

観終えた後、心が温まった。

そして、何か大切なものを思い出したような感じになれた。

 

老若男女、みな楽しめる映画。

特に、女性にとっては共感する部分の多い映画ではないか。

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[映画レビュー]『ちはやふる -上の句-』(2016) 「静」と「動」のメリハリがダイナミックさを加速させる

今、時を超えても変わらない人の想いを感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:百人一首にフォーカスした渋いストーリの映画だから。
ジャンル:青春、ドラマ
泣ける度:(3.5/5)

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(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社


–あらすじ–
同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

40も過ぎたオッさんが、こんな青春映画を観に行くのはちょっとキモいが、それを承知で映画館に観に行った。

劇場には他にもオッさん族がちらほらいて安心したが、ほとんどが春休みに入った学生たち。

 

その学生たちのほとんどが、満足げな表情で映画館を出て行った。

そして、私はというと、これまた満足顔だった。

 

百人一首という題材がよかったのか、「静」と「動」のメリハリがあり、ダイナミックさを加速させていた。

そして、かるた目線で下から競技者を見上げるアングルが、迫力満点。

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(C) 2016 映画「ちはやふる」製作委員会 (C) 末次由紀/講談社

 

高校生同士の、むずがゆくなるような恋愛もの映画と思いきや、そんなちんけなものではない。

百人一首がわからない人でも自然と入り込める世界が出来ており、時折入れ込んでくる詩の解説が、ストーリーに深みを加えていた。

 

漫画が原作のため、「そんなやついないだろ」と思ったらそれで思考停止。

自然に笑えて、心地よく観終えることのできる、こころ温まる映画。

 

「ちはやふる -下の句-』(2016)は4月29日から。

前後編に分かれてる映画はあまり好きじゃないが、前編『ちはやふる -上の句-』(2016)は、これ単体でもしっかり物語が完結していて、思ったほどの不快感はない。

 

後編『下の句』では松岡茉優が投入されるようで、さらに加速していくぞ感を感じる。

原作はどんなだか知らないが、この実写版映画は学生じゃない大人なオッさんでも十分楽しめたので、オッさん族も恐れず映画館へ向かうべし。

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[映画レビュー]『エヴェレスト 神々の山嶺』(2016) 数々の名言から理想の生き様を見出す

今、男が惚れる、理想の生き様に触れたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:阿部寛、岡田准一、尾野真千子と、好きな俳優勢揃いだったから
ジャンル:ドラマ、アドベンチャー
泣ける度:(1.5/5)

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(c)2016 「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会


–あらすじ–
ネパールの首都カトマンズ。ヒマラヤ山脈が見えるその街で、日本人カメラマンの深町誠(岡田准一)は古めかしいカメラを見つける。それはイギリス人登山家ジョージ・マロリーが、1924年6月8日にエベレスト登頂に初めて成功したか否かが、判断できるかもしれないカメラだった。カメラについて調べを進める深町は、羽生丈二(阿部寛)というアルピニストの存在にたどり着く。他人に配慮しない登山をするために孤高の人物となった彼の壮絶にして崇高な人生に触れるうちに、深町の胸にある思いが生まれる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この手の映画はやっぱり映像に見応えがある。

エヴェレストの美しさはもちろんのこと、ネパールにあるエヴェレスト登山の拠点となる街の風景なども、生涯ネパールを訪れることはないかもしれない私にとってはすごく楽しめた映像。

 

では、肝心のストーリーの方はどうか。

予告編映像にて、おもいっきり謎解き的な前振りをしているにも関わらず、最後にはそんな謎解きどうでもよくなってしまった感が否めない。

つまり、何を伝えたいのかの焦点がいまいち定まっていないような、そんな印象を受けた。

 

これは、登山するのに特に明確な理由がないのと同様に、この映画自体にもクリアなメッセージは求めるなということか。

それぞれが、それぞれに、勝手にメッセージを感じて持っていけと言わんばかりの、ある意味身勝手な作りの映画。

 

そして、山の映像がいっぱい出てくると思いきや、そうでもない。

エベレストの厳しさというよりもむしろ阿部寛演じる登山家、羽生丈二の生き様にフォーカスを当てたストーリー。

 

岡田准一氏は主役と思いきや、事実上の主役は阿部寛である。

尾野真千子も結構チョイ役。

 

どうせ観るなら映画館で観たい映画。

エヴェレスト自体の過酷さを、より感じたいのであれば、『エベレスト 3D』(2015) のほうのがオススメかもしれない。

 

登山家、羽生丈二の生き様から何を感じれるだろうか。

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[映画レビュー]『マネー・ショート 華麗なる大逆転 』(2015) なんとなく頭良くなった気になれるが、頭良くはなれない映画

今、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:ブラピの久々の出演作だから。予告が面白そうだったから。
ジャンル:ドラマ
原題:THE BIG SHORT
泣ける度:(0.5/5)

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.


–あらすじ–
2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

ブラッド・ピットこと、ブラピが出てるというだけで判断して観に行くと怪我をする。

いわゆるマネーゲーム的な実話をベースとした映画で、この映画でのキーワードとなる金融用語「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)についてだけ、事前予習しておけば良いかというと、そうではない。

 

もっと、もっと、金融商品について知識がないと、きっと、楽しめない。

金融用語だけではなく、そもそもの経済の仕組みについても理解していないと、この映画楽しかったフリをするだけで終わってしまう。

 

ではガッツリ勉強してからこの映画を観に行けばいいのか?

それも違う。

 

にわか勉強ではこの映画楽しめない。

つまり、ごく一部の経済通の人間が、お楽しみできる映画。

 

普通に考えて、100人に1人が理解できるかどうかレベル。

大学院でMBA課程を修了した私でも、経済用語の連発に頭が混乱し、映画を楽しむどころではなかった。

 

劇中、必死に色々な例えを使って解説を試みるも、それは、なんとなくわかった気にさせるだけ。

また、映画出演者が突然横を向き、解説を始めるシーンも何度かあるが、そんなシーン入れたらもう、「この映画、つまらないですから。」と言っているようなもの。

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 

映画の価値は余韻を楽しませるという点において、ぶち壊しにしてくれる。

ギャグの面白さを、ギャグを言ってからここが面白いところと説明しているようで、寒い。

 

これまでも、マネーゲーム的映画はあれど、それらは素人でも理解できるレベルに経済的内容の部分をシンプルにして、映画的面白さの追求を忘れていなかった。

しかし、この映画は一般の人たちには難しすぎる。

 

ただ一つ、人が不幸になる事によって利益を得る輩に対し、ある種のメッセージ的なものがあったのが良かった。

あと、損をするのは、無知な、自分で考える事を止めた人たちであるという事を、映画を通じて教えてくれた。

 

かなり、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたい人にはおすすめな映画か。

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[映画レビュー]『戦場のピアニスト』(2002) 生きようとする人間の本能が切に伝わってくる

ユダヤ人迫害の映画であれど、辛すぎる映画は苦手というあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:タイトルより興味そそられなかったが、いつの日か人に勧められたから
ジャンル:ドラマ、戦争
原題:THE PIANIST
泣ける度:(1/5)

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(C)2002 PR PRODUCTION/STUDIO BABELSBERG/HERITAGE FILM/RUNTEAM LIMITED


–あらすじ–
1940年、ドイツ占領下のポーランド。ユダヤ系ピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)は家族と共にゲットーへ移住。やがてユダヤ人の収容所移送が始まり、家族の中で彼だけが収容所行きを免れた。食うや食わずの潜伏生活を送るある日、遂に1人のドイツ兵に見つかる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

想像に難くないストーリー展開で、ナチスのユダヤ人迫害のシーンは見ていて心が痛い。

実話ベースの映画であり、ロマン・ポランスキー監督自身が幼少期をゲットーで過ごしたという事実から、劇中描写のリアルさが増す。

 

実に残酷なシーンが多いのだが、見ていて悲しいというより、その光景にただただ圧倒される。

悲しいことは悲しいんだけど、それが度を超えすぎていて、涙さえ出てこない、そんな感じ。

 

実話ベースの話なだけに、ストーリー展開的に面白いかというと、そうでもない。いたってシンプルなストーリー。

ゆえに、映画的エンタメ性を欲するのであれば、あまり満足は得られないか。

 

ただ、終始飽きさせないことは確か。

スタートからエンドまでとにかく飽きさせない。

 

映画というより、スーパー上質な再現映像とも言えなくはない。

特にゲットーでのユダヤ人たちの生活ぶりがリアルすぎて言葉を失う。

 

迫害されるユダヤ人たちの行為一つ一つに対し、「そうだよな」と、いちいち頷いてしまう。

生きようとする人間の本能が、切に伝わってくる映画。

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