実話

[映画レビュー]『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』(2016) とにかくやっちゃえばいいんだよ

今、一歩目を踏み出せないあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:実在した人物をモデルにした映画に基本的に関心があるから
ジャンル:ドラマ、コメディ
原題:FLORENCE FOSTER JENKINS
もう一度観たい度:(1.5/5)
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(C) 2016 Pathe Productions Limited. All Rights Reserved

–あらすじ–
ニューヨーク社交界のトップとして華やかな毎日を送る一方、ソプラノ歌手を目指して活動しているフローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)。しかし、その歌唱力は音痴というしかないレベルであった。夫シンクレア(ヒュー・グラント)は、マスコミを買収したり、理解者だけを集めた小規模なリサイタルを開いたりと、病を抱えながらも夢を追う彼女を支えていた。そんな中、フローレンスがカーネギーホールで歌いたいと言い始め……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

そこそこの映画かな、と、それほど期待もせず映画館へ。

結果、そこそこの映画だった。

 

ただ、いつもこの手の映画を観て思うことは、へーっ、こんな人がいたんだ、ということ。

実在の人をモデルにした映画って、かなり脚色してない限り、それほど面白いものには仕上がらないのはわかって観ている。

だから、ある種の見聞を広げるという意味で観たりする。

 

本作の主演がメリル・ストリープ、ヒュー・グラント、という、個人的に好きな2人。

これが無名の俳優2人が演じてたら、多分話題にすらならなかったかもしれない。

 

コメディー映画のジャンルに属するが、そこまで爆笑するシーンもなく、時折、アメリカ映画特有のジョーク的な、そんなものが放り込まれている程度。

好きな人は好き、そうでない人はそうでない、そんな映画。

 

個人的には観てよかったと思った映画だが、映画館に行くほどではないかなとも思った。

ただ、カーネギーホールを映画館の大スクリーンで味わいたいのであれば、劇場へ行くべきかも。

 

可もなく不可もなく。

ただ1つ、「やっちゃえばいいんだよ」という勇気はもらえたかな。

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[映画レビュー]『スポットライト 世紀のスクープ』(2015) それは、自分だったかもしれない

今、自分にスポットライトが当たっていないと感じるあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3.5/5)
観た理由:アカデミー賞作品賞、脚本賞受賞作品はとりあえず押さえておきたいところなので
ジャンル:ドラマ
原題:SPOTLIGHT
泣ける度:泣けるとか泣けないとかいう映画ではない

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(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC All Rights Reserved.


–あらすじ–
2002年、ウォルター(マイケル・キートン)やマイク(マーク・ラファロ)たちのチームは、「The Boston Globe」で連載コーナーを担当していた。ある日、彼らはこれまでうやむやにされてきた、神父による児童への性的虐待の真相について調査を開始する。カトリック教徒が多いボストンでは彼らの行為はタブーだったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

アカデミー賞作品賞を受賞した映画は、興行的にはそれほどヒットしないと言われている。それは、作品自体が玄人好みであり、決して一般大衆受けする仕上がりではないから。

この『スポットライト』もしかり。正直、大衆受けするとはあまり思えない。

 

そもそも日本では、宗教に対する理解に深い人間がそれほど多くないせいか、カトリック教会の枢機卿(すうききょう)だの、神父だの言われても、誰がどれぐらい偉くてどれぐらいその世界で力を持っているのか、ほとんどの人がよくわかっていない。

ゆえに、この手の宗教の闇の部分を描いた作品は、我々日本人には容易に受け入れ難い。

 

それでもこの映画『スポットライト』には、大きな社会的意義を感じる。宗教のことはあまりよくわからない、子どもの頃教会に通った経験がない、という我々日本人にとっても一見の価値はある映画とも感じる。

映画という媒体を通じて、他国の文化や歴史に興味を持っていくのは、ひとつ、映画を観ることの醍醐味でもある。

 

神父という絶対的存在にNoとは言えない環境。

そこに、親がいなかったりと、絶対的立場の弱い子どもたちがいる。

 

絶対的力を持つ神父たちの一部が犯す過ち。

その過ちが巨大な力によって組織ぐるみで隠蔽される現状。

 

そして、その強大な力に対し、信念を持ってぶつかっていく記者たち。

 

徹底的に事実を分析し、データの規則性を見出す。

まさにビックデータ解析。しかもそれをほぼ手作業で、アナログ的にやり遂げる。

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(C) 2015 SPOTLIGHT FILM, LLC All Rights Reserved.

 

他のノンフィクション映画同様、この映画にも、実話をベースとした映画のジレンマがある。

細かく描きすぎると登場人物も多くなりわかりにくくなる。一方で、シンプルに描くと、薄っぺらな推理映画になる。

 

Again, カトリックの背景知識や教会通いの経験がない大多数の日本人には、正直あまり感情移入できない作品。

しかしながら、信念を持って、やるべきことをやり遂げるものたちの姿には、心打たれるものを感じるはず。

 

最近仕事に打ち込めてない、そんな人には、信念を持って仕事に取り組む記者たちの姿が刺激になるのでは。

華やかさはないまでも、何度でも観たくなる、味わい深い映画。

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[映画レビュー]『レヴェナント:蘇えりし者』(2015) こいつに復讐するまでは絶対に死ねねー

今、アカデミー賞主演男優賞のスゴさを感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:ディカプリオがアカデミー賞主演男優賞をとったという事で、話題に乗った。
ジャンル:アクション、ドラマ、アドベンチャー
原題:THE REVENANT
泣ける度:レベル感の違う悲しさ。涙は出ないが泣けてくる人生。

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(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.


–あらすじ–
アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

レオナルド・ディカプリオ主演映画は、これまでもハズレが少ないイメージがあり、観て後悔はしないだろう映画ぐらいでいつも映画館に足を運んでいる。

そして今回の『レヴェナント:蘇えりし者』。これまでのディカプリオ主演作のような派手さはないが、それでもメッセージ性の強い、骨太な映画と感じた。

 

彼は、この映画でアカデミー賞主演男優賞を受賞したが、その理由がわかりすぎるほどわかる映画であり、彼の、映画俳優としての格の違いを、これでもかというほどに見せつけてくれた。

同列に、同時期に、同価格にて上映されている日本映画のポスターたちが、申し訳なさそうに、「こっちはなんちゃって映画だからねー」と額に汗をかきながら言い訳しているように見えた。

 

邦画には邦画にしかできない役割があると思っているので、別段邦画を批判しているわけではないが、映画業界もそろそろ作品によって価格に違いをつけることをはじめても良いのかもしれない。

そろそろ本題へ。

 

ストーリー展開については、正直に言って、それほど意外性はない。

予告編から感じられるものがそのまま展開されているだけである。

だから、劇的な、大どんでん返し的な、エンタメ性MAXな映画を期待している人には好まれない映画。

 

ではこの映画の見どころは何?

映画俳優レオナルド・ディカプリオの演技を観に行く、それに尽きると思う。

 

予告編でもチラッと見せてくれるが、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)はクマのグリズリーに襲われる。まずこのシーンが超リアルな感じで。あの怪力クマの前では人間は無力であることがわかる。

その後、瀕死の重傷を負ったグラスは、なんとか生き抜こうと這いつくばるが、その体力ふり絞ってる感が、「うわーっ、ディカプリオ魅せるな」と言う具合で。

 

この映画、実話をベースとした話しであるため、少なくともこの状況に近い経験をした人が実際にいたんだと思うと、よく生きてたなと、ただただ感心させられる。

生きることへの強い執念があり、それは、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)への復讐心からくるのであるが、「こいつに復讐するまでは絶対に死ねねー」という、ある種の「絶対感」が凄まじく伝わってくる。

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(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 

ものすごく平たく言うと、とある男がとある男に復讐する話、それだけなのだが、それが凄まじい生命力とともに描かれている、そんな映画。

何事も、「絶対にやってやる」レベルの高くない人は、パワー注入のためにこの『レヴェナント:蘇えりし者』を鑑賞されることをおすすめする。

 

また、人種差別問題についても、ゆっくり、そして深く、切り込んでいる。

静かで長い映画だが、じっくり、ゆっくり、深いメッセージを感じることのできる、映画通好みな映画。

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[映画レビュー]『マネー・ショート 華麗なる大逆転 』(2015) なんとなく頭良くなった気になれるが、頭良くはなれない映画

今、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(3/5)
観た理由:ブラピの久々の出演作だから。予告が面白そうだったから。
ジャンル:ドラマ
原題:THE BIG SHORT
泣ける度:(0.5/5)

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.


–あらすじ–
2005年のアメリカ。金融トレーダーのマイケル(クリスチャン・ベイル)は、サブプライムローンの危機を指摘するもウォール街では一笑を買ってしまい、「クレジット・デフォルト・スワップ」という金融取引で出し抜いてやろうと考える。同じころ、銀行家ジャレド(ライアン・ゴズリング)がマイケルの戦略を知り、ヘッジファンドマネージャーのマーク(スティーヴ・カレル)、伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)らを巻き込み……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

ブラッド・ピットこと、ブラピが出てるというだけで判断して観に行くと怪我をする。

いわゆるマネーゲーム的な実話をベースとした映画で、この映画でのキーワードとなる金融用語「クレジット・デフォルト・スワップ」(CDS)についてだけ、事前予習しておけば良いかというと、そうではない。

 

もっと、もっと、金融商品について知識がないと、きっと、楽しめない。

金融用語だけではなく、そもそもの経済の仕組みについても理解していないと、この映画楽しかったフリをするだけで終わってしまう。

 

ではガッツリ勉強してからこの映画を観に行けばいいのか?

それも違う。

 

にわか勉強ではこの映画楽しめない。

つまり、ごく一部の経済通の人間が、お楽しみできる映画。

 

普通に考えて、100人に1人が理解できるかどうかレベル。

大学院でMBA課程を修了した私でも、経済用語の連発に頭が混乱し、映画を楽しむどころではなかった。

 

劇中、必死に色々な例えを使って解説を試みるも、それは、なんとなくわかった気にさせるだけ。

また、映画出演者が突然横を向き、解説を始めるシーンも何度かあるが、そんなシーン入れたらもう、「この映画、つまらないですから。」と言っているようなもの。

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(C)2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 

映画の価値は余韻を楽しませるという点において、ぶち壊しにしてくれる。

ギャグの面白さを、ギャグを言ってからここが面白いところと説明しているようで、寒い。

 

これまでも、マネーゲーム的映画はあれど、それらは素人でも理解できるレベルに経済的内容の部分をシンプルにして、映画的面白さの追求を忘れていなかった。

しかし、この映画は一般の人たちには難しすぎる。

 

ただ一つ、人が不幸になる事によって利益を得る輩に対し、ある種のメッセージ的なものがあったのが良かった。

あと、損をするのは、無知な、自分で考える事を止めた人たちであるという事を、映画を通じて教えてくれた。

 

かなり、金融業界に精通していて、かつ、リーマン・ショックのおさらいをしたい人にはおすすめな映画か。

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[映画レビュー]『ザ・ウォーク』(2015) 一歩を踏み出せない輩たちへのメッセージ

今、何かデカいことを成し遂げたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(5/5)
観た理由:予告編がつまらなそうだったが、気になったので自分で確かめたかった。
ジャンル:ドラマ、サスペンス
原題:THE WALK
泣ける度:(1/5)

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(C)2015 Sony Pictures Digital Productions Inc. All rights reserved.


–あらすじ–
1974年。フランス人の大道芸人フィリップ・プティ(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、誰も考えついたことのない挑戦をすることに。それはニューヨークのマンハッタンにそびえ立つ2棟構造の高層ビル、ワールド・トレード・センターの屋上と屋上の間にワイヤーロープを張って命綱なしで渡っていくというものだった。そして、ついに決行の日を迎えるフィリップ。地上110階の高さに浮いているワイヤーを、一歩、また一歩と進んでいく彼だったが……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

二時間ずっと綱渡ってて、落ちそうになったりしながら最後には無事渡りきってお話は終わりかな、と、超期待低で映画館へ。

 

すみません。。  

私が間違っていました。。

 

たぶん映画のタイトルが悪いのかも、と、人のせいに。

タイトルが『ザ・ウォーク』じゃ、面白み伝わってこないでしょ。

 

でも、それが作戦だったのかもしれないが。

観てみたらこんなに面白いんだよ、という感じで。

 

スーパー、大満足です。

気がついたら手と足に汗を握ってた。

 

もちろん綱渡った人が語ってるストーリーなんだから本人は生きてるに決まってるし、落ちないに決まってる。でも、それでも汗が出る。

話のテンポもすこぶるいい。サクサク観れる感じで、退屈さが全くない。

 

ヒューマンドラマ要素あり、サスペンス要素あり、でもコアにあるのは「冒険要素」な気がした。

アドベンチャーというか、ベンチャーというか。

 

涙が出る感動とはまた違った形で、大いに感動できる映画。

あなたも歴史的イベントの「共犯者」気分を味わえます。

 

映画館で3Dで観たんですが、やっぱりこの手の映画は3Dがおすすめです。

再びあのワールドトレードセンターを3Dで。

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[映画レビュー]『ブラック・スキャンダル』(2015) 精神的に追い詰める恐怖の話術が凄まじい

今、ジョニー・デップ好きなあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:ジョニー・デップのハゲヅラ姿が見たかったから。ハゲヅラに0.5ポイント。
ジャンル:ドラマ
原題:BLACK MASS
泣ける度:泣ける要素ゼロ

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(c) 2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.


–あらすじ–
1970年代、サウスボストン。アイリッシュ・マフィアのボスとして同地一帯を牛耳るジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー(ジョニー・デップ)に、FBI捜査官のジョン・コナリー(ジョエル・エドガートン)が接触を図ってくる。彼はFBIと手を組んでイタリア系マフィアを駆逐しようとホワイティに持ち掛け、密約を交わすことに成功。両者の連携によってイタリア系マフィアの勢力は弱まるが、その一方でホワイティは絶大な権力を持つようになる。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

試写会で観てきました。

場所は、ワーナー・ブラザーズ映画試写室。

 

いつもは公民館みたいな場所での試写会。今回は、金持ちの心地よいミニホームシアター的な場所でGOODで。

上映前には小さなイベントもあって、あまり期待してなかったけど楽しかった。

 

俳優の小沢仁志さんの「悪と悪党は違う」という言葉が印象的で。

悪党はヒーローにもなりうるが、悪(ワル)は悪(ワル)だと。

 

そんなワルが登場する映画、『ブラック・スキャンダル』の話をそろそろ。

私、ジョニー・デップのファンタジータッチの映画が好きではなく、いつもはあまり彼の映画を観ないのだが、今回はギャング系映画ということで、少し期待をして試写会会場へ。

 

この映画のストーリーはなんと実話。

しかし実話もの映画って、基本的に広がりが薄い作品が多い。

 

あまり色付けすぎちゃうと、事実と異なってくるし、そこは葛藤なところ。

過去にもギャング系実話もの映画がいくつかあった。それら映画と比較して、今作『ブラック・スキャンダル』はどうか。

 

事実を一つずつなぞってる感は否めないが、それでも一つ一つのシーンに見応えがある。

特に、ジミー(ジョニー・デップ)が「チンピラ」レベルから、手のつけられない「ワル」に変化していく過程に、そして、ジミーを取り巻く人たちが、次第にジミーに恐怖感を抱いていく過程に、観ていて引き込まれ、手に汗を握った。

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(c) 2015 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

 

映画全体にいきわたる緊迫感が半端ない。

そして、ジミーの人を精神的に追い詰める、「恐怖の話術」が凄まじい。

 

試写会に招待された芸能人たちが、「今作はジョニー・デップ最高傑作!!」と、絶賛させられているが、いかに。

私自身、本作がジョニー・デップ最高傑作映画とは思わなかったが、過去の数あるギャングもの実話映画よりは見応えもあり、その意味では満足であった。

 

ただ、映画としては、全体的に、ドラマチックな展開もなく、「ただただ怖いワル、ジミーとその関係者たち」的なお話。

どこでもいい。ストーリーの中に、どこか一点決めて、そこに強いフォーカスがほしかったかな、と。

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[映画レビュー]『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015) 自分に都合のいいルールで考えていないか?

今、スパイ映画の割り切り感を感じながらも、一方で、人間臭さも感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:トム・ハンクス出演映画が好きだから。ハズレが少ないから。
ジャンル:サスペンス、ドラマ
原題:BRIDGE OF SPIES
泣ける度:(2/5)

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(C)Twentieth Century Fox Film Corporation and DreamWorks II Distribution Co., LLC. Not for sale or duplication.


–あらすじ–
アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける。その後ドノヴァンの弁護により、アベルは死刑を免れ懲役刑となった。5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲される。ジェームズは、CIAから自分が弁護したアベルとアメリカ人乗組員のパワーズ(オースティン・ストウェル)の交換という任務を任され……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

トム・ハンクスが出ているというだけで、映画全体に厚みが出てくる。

他の多くの映画が、新しい部屋に新しい家具を入れて綺麗な会議室を作りました的な仕上がりなのに対し、トム・ハンクスの出る映画は、木目調の厚みのある机が置かれている温かみのある会議室といった感じであり、全体的に重厚感を感じる。より、映画を観てるって感じになれる。

 

さて、映画本体の話へ。

最近比較的多い、実話をベースとした映画である。

 

1960年当時の、アメリカとソ連の冷戦状態での、人々が冷静に、客観的に物事を判断できない、凝り固まった価値観でいっぱいの姿が見て取れる。

そんな時代に、ソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)を弁護することになった「保険」弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)。

 

世間での風当たりの強さは想像に難くない。

そしておそらく、映画の中で語られている以上の恐怖を感じながらの「お仕事」だったのだろう。

 

東ドイツを国家として認めないアメリカ政府の立場もあり、「民間人」として交渉にあたる弁護士ドノヴァン。

スパイ映画にありがちな「死んでも当方は責任を一切負わない」的な、切り離された状態で、相手が本当は誰かも確信が持てず、そして自分が誰であるかさえも相手にわからせることが難しいストレスいっぱいな状況の中、交渉に挑むドノヴァン。

 

当時、全アメリカ人にとっての「クソ野郎」を弁護する立場にあったドノヴァン。

有罪判決ありきの、死刑判決ありきの裁判の弁護をさせられるドノヴァン。

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(C)Twentieth Century Fox Film Corporation and DreamWorks II Distribution Co., LLC. Not for sale or duplication.

 

二時間そこらの枠内で、これらストレスや葛藤を表現するのはやはり難しかったか。

満足度は高いものの、これら状況の厳しさを限られた上映時間内で伝えきれなかった感があるのは否めない。

 

悲しくて泣けるのではなく、人間としての美しさを見せつけられて、感動して、泣けてくる映画。

スパイ映画の割り切り感を感じながらも、一方で、人間臭さも感じたいあなたにオススメの映画。

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[映画レビュー]『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』(2014) GOODな、いいかげんさ

今、アフリカ難民問題について、まずは知ることから始めてみたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:タイトルに惹かれた。
ジャンル:ドラマ
原題:THE GOOD LIE

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(c)2014 Black Label Media, LLC All Rights Reserved.


–あらすじ–
カンザスシティーの職業紹介所勤務のキャリー(リース・ウィザースプーン)は、スーダンの内戦で両親を亡くしたマメール(アーノルド・オーチェン)らを空港で出迎える。これまで抜かりなく仕事をこなしてきた彼女の任務は、難民の彼らに勤め先を見つけることだった。だが、電話など見たこともなく、マクドナルドも知らない彼らの就職は困難を極める。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

この映画のタイトル『グッド・ライ ~いちばん優しい嘘~』から、心温まるコメディー映画を想像していたら、だいぶ違っていた。

 

めちゃくちゃシリアスな映画で、笑うなんてどんでもないという映画。

でも、感動させて涙を流させるというものでもなく、泣いてもらう代わりに、しっかりとこの現実を世界に広めたいという想いのほうが、より伝わってきた。

 

この映画は実話ベースであり、実際のスーダン難民や、元少年兵たちが演じていることで、よりリアルさも感じる。

この手の実話もの映画になると、ドキュメンタリーフィルム度が高く、やや起伏の少ない眠たくなる映画となるか、逆に、脚色し過ぎてドラマチック過ぎる映画になるかだが、この映画はちょうどその中間ぐらい。したがって、しっかりと現実に向き合える一方で、映画としても見応えのある作品。

 

ものすごい現実が、淡々と描かれている。

そこが狙いなのかどうかわからないが、「こんなことは我々にとって特別なことではなく、日常の出来事なんだよ」と言われているような気がした。

 

積極的に難民を受け入れることがない日本。その日本に住む我々日本人にとって、難民を受け入れることとはどういうことか、実はよくわかっていない。

そして、今後も深く関わることがないものかもしれない。

 

それだけに、日本人にこそ、この映画を見て欲しい。

まずこの映画を観ることが、彼らを支援する一歩となるのではないか。

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[映画レビュー]『レッスン!』(2006) 社交ダンスがダサいなんて、もう言えない。

今、踊れないけど踊りたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4.5/5)
観た理由:高校荒れてる系が好きだから。
ジャンル:ドラマ、青春
原題:TAKE THE LEAD

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(C) MMV NEWLINE PRODUCTIONS,Inc Rights Reserved


–あらすじ–
路地裏で暴れるロック(ロブ・ブラウン)を目にしたピエール(アントニオ・バンデラス)は、翌日、スラム街の高校に出向き社交ダンスで学生たちを変えてみたいと直訴する。しかし、ピエールがダンス指導することになったのはロックら問題児が集まる特別クラス。家庭の問題を抱える彼らは、社交ダンスを通して人生に希望を見いだしていく……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

ダンスムービーは、やっぱり観終わった後スカッとする。

そして、踊れないのに踊りたくなる。

 

実話ベースの映画。

“Inspired by a true story”と、微妙な表現で冒頭に断り書きを入れているので、結構脚色されてるかなあ感はある。

ホント、実話はベースになっているだけですよ、的な。

 

フリーダム・ライターズ』(2007) 同様、学校が超荒れている。『フリーダム・ライターズ』のほうが、刑務所感が強かったが。

それにしてもアメリカの高校ってこんなんなの?

NYの高校とかって。

 

ちょっと荒れてる系の高校もの映画で、ダンスものというと、ジュリア・スタイルズ主演の『セイブ・ザ・ラストダンス』(2001)を思い出す。

こちらは白人の彼女が黒人の彼からダンスを教えてもらうパターンで、彼女はバレリーナなのだが、バレリーナ体型じゃないだろ、と、ツッコミが多かった映画。でもいい映画。

 

高校荒れ荒れシリーズでいうと、『デンジャラス・マインド/卒業の日まで』(1995)もかなりの荒れ模様。

 

すべての映画に共通して言えることは、「住む世界が違う」ということ。

いくら綺麗ごとをならべて、「勉強しよう」、「ダンスをしよう」と言っても、その日生きていくのが精一杯の環境に置かれている生徒たち。

 

そんな、困難の中の困難を生きる生徒たちを立ち上がらせる映画なだけあって、この手の映画は一般的に受けがいい。

そしてそれが実話ベースとなると、さらに観る者の気持ちを惹きつける。

 

アントニオ・バンデラスがスーパカッコよく、また、彼らが踊る社交ダンスもめちゃくちゃカッコイイ。

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(C) MMV NEWLINE PRODUCTIONS,Inc Rights Reserved

 

ストーリー展開に意外性はない。ただ、観ていて嬉しくなることは確かだ。

スカッとした気持ちになりたいときに、おすすめの一本。

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[映画レビュー]『杉原千畝 スギハラチウネ』(2015) 世界を知り、日本をより良い国に

今、杉原千畝氏についてザックリ知りたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:歴史好きだから。杉原千畝氏に関心があるから。
ジャンル:ドラマ

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会


–あらすじ–
1935年、満洲国外交部勤務の杉原千畝(唐沢寿明)は高い語学力と情報網を武器に、ソ連との北満鉄道譲渡交渉を成立させた。ところがその後彼を警戒するソ連から入国を拒否され、念願の在モスクワ日本大使館への赴任を断念することになった杉原は、リトアニア・カウナスの日本領事館への勤務を命じられる。同地で情報を収集し激動のヨーロッパ情勢を日本に発信し続けていた中、第2次世界大戦が勃発し……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

実話に基づいたストーリーということで、お勉強がてらに観る。

結果、感動はあったけど、泣くとかいうそういう類のものではなかった。

 

なんだろう。たぶん、杉原千畝氏の「苦悩」の部分の描写が意外とあっさりとしていたからか。

あと、調査能力が優れていたと言われる杉原千畝氏のスゴさとかも結構あっさりと描かれていて、スゴイ感があまり伝わってこなかったからか。

 

杉原千畝氏演じる唐沢寿明さんの英語のセリフには感心。ごく一部のセリフが英語になっているのかと思いきや、結構な量のセリフが英語であり、その英語も聞いていて、聞き苦しくない綺麗な日本人英語だったから。

すごい役者魂。ハリウッド進出も夢ではないか。

 

映画『ライジング・サン』(1993)に出てくるアメリカ人俳優の、子供の学芸会レベルの日本語のセリフとは大違いだ。(ご興味とお時間のある人は是非、こちらの映画もお楽しみを!!)

 

また、板尾創路氏が出てた。ちょっとお笑いのイメージ強すぎて。。なぜ板尾?、と。

しかも、やや重要なポジション。杉原千畝氏の嫁(小雪)の兄貴役という。

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(C) 2015「杉原千畝 スギハラチウネ」製作委員会

 

自分の家族を危険にさらしてまで、縁もゆかりもない外国人を助けることができるか?

杉原千畝役の唐沢寿明氏より、脇役の濱田岳氏のほうが、苦悩に満ちた感じが出ていたか。

守るべき家族がいる以上、下手なことをして仕事を失えない。でも、自分の信条に沿って行動したい気持ちもある。そんな葛藤の描写を期待していたのだが、濱田岳氏の苦悩のワンシーンが最高沸点という感じだった。

 

この杉原千畝氏の偉業、彼一人の力で成し遂げたと思われがちだが、そこには杉原千畝氏を慕う者たちの、多くの支えもあったようだ。

杉原千畝氏について、これまで名前と彼の功績の概要だけしか知らなかったが、少し深く彼を知ることができた。

 

そして、この手の映画を観ていつも思うことだが、戦争は酷い、と。

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