[映画レビュー]『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015) 人はすぐに忘れる、そして、過去を蘇らせる

LINEで送る
Pocket

今、絵画の持つ力を感じたいあなたにおすすめの映画

観て良かった度:(4/5)
観た理由:絵画について最近自分の中で関心が高まっているから。
ジャンル:ドラマ
原題:WOMAN IN GOLD

(C)2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.


–あらすじ–
アメリカ在住の82歳のマリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、グスタフ・クリムトが描いた伯母の肖像画で第2次世界大戦中ナチスに奪われた名画が、オーストリアにあることを知る。彼女は新米弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)の助けを借り、オーストリア政府に絵画の返還を求めて訴訟を起こす。法廷闘争の一方、マリアは自身の半生を振り返り……。
シネマトゥデイ

映画の率直な感想から

法廷闘争ものの側面を持ち、現在と過去を行ったり来たりする展開でありつつも、比較的、観やすい作りになっている。

現代のシーンは時系列でわかりやすく構成されており、過去のフラッシュバックが映し出されるシーンでは、明確に過去のストーリーとわかるような映像で作られている。観るものに優しい映画。

 

また、この映画のストーリーは実話をベースに作られており、最後のエンドロールでは、現在彼らがどう生活しているのか的な紹介が出てくる。これはありがちな作りだが、実話映画を観ている者が知りたいところをしっかりカバーしてくれている。

ストーリー的には、フィクションじゃないかと思うぐらいの驚きな話の展開であり、これが実話ということで、一層観るものを魅き付ける。よく映画でありがちなストーリーが、そんなありがちな話が「本当にあった」ということだ。

 

それでも「よくある話だなあ」と、映画としてはつまらないと思うかもしれない。ただ、これ、何度も言うようですが、「実話」なので、よく映画である話ではなく、本当にあった話であるということで、是非ご鑑賞いただきたい。

 

久しぶりに、映画を観てるなあという感じがした。

私の映画を観る際の楽しみの一つが、自分が行ったこともない地域、聞いたこともない制度やしきたりなどに、間接的ではあるが、触れることができるということ。そういった意味で、オーストリアのウィーンに触れ、国際裁判の難しさに触れることができたこの映画は、まさに「映画を観てる」感が久しぶりに強く感じられた作品。

 

他の本格法廷もの映画と比べると、法廷闘争部分自体についてはそれほど見入るレベルのものでもない。だから、「裁判に勝ったー!やったー!」というレベルのものではない。

それよりもむしろ、「過去を蘇らせる」ことの意味について考えさせてくれる映画である。

「人はすぐに忘れる」だけに、作り続けるべき映画

ナチス・ドイツを取り扱った映画はこれまでたくさん観てきているが、このナチス・ドイツによる野蛮な行いはいつ見ても、どんな形で見ても、実に不快な気分になる。そして、戦争なんて二度としてはならないと、再度念押しされる。

日本でも、太平洋戦争の映画は毎年のように作られる。同じような話の映画が。

当初、「また同じような映画作って。もういいよ。」とか思っていたが、この手の映画はしつこく作り続けることに意味があるなあと、最近感じている。この手の映画は、やはりウザいぐらいしつこく作り続けるべきだなと。

(C)2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

 

マリア(ヘレン・ミレン)が夫と二人で、ナチス・ドイツの追っ手をかいくぐってオーストリアから脱出を試みるシーン、これがすごい緊迫感。一度しかないチャンスでの命がけの脱出、今晩何者かに追いかけられる夢を見るのではないかというぐらい、脳裏に焼きついたシーン。緊張感が半端ない。

マリアにとって、そんなつらい過去の思い出が蘇ってくる地、オーストリア。「戻りたくない」と言われても納得。

 

誰にでも戻りたくない場所ってあるのかもしれない。そんな戻りたくない地を自分でも想像しながら、実際マリアはその100倍も戻りたくない気持ちがあったのにもかかわらずオーストリアに戻ったんだなあと想像してみると、また深い見方ができるかもしれない。

 

「人はすぐに忘れる」

劇中、マリアだったかが、発した言葉。

ナチス・ドイツの恐怖に怯えた人たちの気持ちも、しばらくしたらまた忘れてしまうだろう。それだけに、この手の映画はしつこく、ウザいぐらい作り、世に送り出し続けて欲しいと願う。

 

絵画の持つ力とは? 絵画の本当の楽しみ方とは?

過去を蘇らせる
Keep the memory alive

絵には「過去を蘇らせる」力がある、と。

きっとアデーレの肖像画は、いい意味でも悪い意味でもマリアの過去を蘇らせるものだったのであろう。私にとってはただの一女性の肖像画にしか映らないものが。

woman-in-gold-03

(C)2015 The Weinstein Company LLC. All Rights Reserved.

 

これまで海外の美術館に行ってもなんとなく絵を眺めるだけだった自分。こうして絵が描かれた背景を知ることで一層絵を楽しめるようになる、というか、絵というのはそうして描かれた背景、ストーリーを楽しむものなのであろう。そんなことも知らず、これまでただただ絵画を流し見ていた自分。

今度からはある程度、画家や絵についての背景を学んでから美術館に行くか、ガイドにアテンドしてもらって美術館を巡ってみたい。さすれば、これまで気がつかなかった発見もあるかもしれない。ガイド代をケチらずに。

 

最後にひとこと感想

新米弁護士ランディ(ライアン・レイノルズ)が金のために始めた裁判、それが次第に金のためじゃなくなっていく。映画のクオリティは全くと言っていいほど違うが、邦画「想いのこし」のガジローの心の変化に近い。

誰にとって何が正しいことなのか。つまり、誰のために絵の返還を求めるのか。それがその人のために本当になっているのか。結局何が正しかったのかなどわからないだけに、いろいろと考えさせてくれる映画。

 

現在もまだナチス・ドイツにより略奪されたものが、本来の持ち主の手元に戻っていないという現実があるとのこと。形は違えど、我々日本人もこの点については深く受け止めておくべきことと感じる。

これまで日本が世界に対し、何をしてきたのか、そして相手はどう感じており、現在はどのような状況になっているのかを。

 

予告編

 

LINEで送る
Pocket

映画・ドラマ見放題の贅沢がクセになる

Hulu(フールー)では映画やテレビドラマ、アニメやお笑い番組が見放題。PCやテレビ、スマホやタブレットと、どこでも観ることができるのも魅力の一つ。以下、私なりの贅沢なHulu(フールー)の使い方を3つご紹介。

  • 就寝前にちょっと一本布団の中で
  • 見逃した映画・ドラマをまとめて一気見
  • スキマ時間に「続き」からいつでも簡単再生

正直、ドラマに比べて映画の充実度はこれからという感じだが、月々933円(税抜)で見放題と考えると大満足。まずは2週間無料お試しから。

ちなみに今、アメリカテレビドラマの「ウォーキング・デッド」にハマってます。「LOST」と「バイオハザード」を足して二で割ったみたいなやつで。シーズン5まで一気見中。


オススメ映画、国内外のドラマ、アニメ一覧はこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*